近年、退職の意思を代理で伝える「退職代行」サービスの利用者が増加の一途を辿っています。特に長期休暇明け、中でもゴールデンウィーク明けは年間で最も依頼が多いとのこと。一体なぜでしょうか? 新卒社員までもが利用する退職代行の背景を探ります。
なぜ退職代行を使うのか? 22歳新卒社員のリアルな声
なぜ自ら退職の意思を伝えられないのでしょうか? 実際に退職代行を利用した経験を持つ上原さん(22歳)に話を伺いました。
上原さんは2025年4月、印刷会社に入社。しかしわずか10日後、雇用契約書へのサインの際に、募集要項に記載されていたはずの退職金がないことに気づきます。
「こんなことをする会社なんだ…と不信感を抱きました」
その後、先輩社員から残業時間も募集要項の5~6倍も多いと聞き、会社への不信感はさらに募ります。将来への不安を抱き、退職を決意したのです。
「新卒で入社20日ほどで辞めるのは気まずい…」
そんな状況で退職代行を利用した上原さんは、
「結果的にすぐに辞められ、会社との気まずさも感じずに済んだので、精神的に楽になりました」
と語っています。
alt=退職代行サービスのイメージ。スマホで簡単に手続きができることを示唆している。
新卒社員の退職理由 第1位は「入社前後のギャップ」
退職代行「モームリ」の代表取締役 谷本慎二さんは、
「依頼内容の中には、提示された給料が求人票と異なるといったケースも見られます」
と現状を語ります。
モームリへの依頼理由で、ハラスメントを含む「人間関係」を抑えて1位となっているのが「入社前後のギャップ」。 勤務実態や職場環境が入社前のイメージや契約内容と異なるというものです。
上原さんもまさにこの「入社前後のギャップ」から会社への不信感を抱いた一人。
谷本さんは、
「雇用形態が違うというケースもありました。正社員として入社したのに、実際は半年間の契約社員だったり、別の会社に派遣されたり。このような契約内容の相違は、嘘をつかれたのと同じ。退職を考えるのも当然だと思います」
と新卒社員の退職理由に理解を示しています。
求職者と企業双方にとっての課題
新卒社員の早期退職は、求職者本人だけでなく、企業にとっても大きな損失です。 ミスマッチを防ぐためには、企業側はより正確な情報開示を、求職者側は入念な企業研究を行うことが重要と言えるでしょう。
alt=オフィスで働く人の様子。退職代行を利用する人の背景には様々な事情があることを示唆。
まとめ:退職代行増加の背景にあるもの
退職代行の利用増加は、現代社会における雇用環境や労働者意識の変化を反映していると言えるでしょう。 より良い労働環境の実現に向けて、企業と求職者双方の努力が求められています。