米国のシンクタンクAEI(アメリカン・エンタープライズ研究所)のシニアフェロー、ジェームズ・カプレッタ氏は、トランプ前大統領と共和党が進めた大規模な減税政策について、財政赤字の拡大につながると警鐘を鳴らしています。本記事では、カプレッタ氏の主張と、減税政策をめぐる議論について詳しく解説します。
減税政策の財源は確保できるのか?専門家の厳しい見方
トランプ政権は、減税による財政赤字の増加分を、関税引き上げによる歳入増と政府機関の縮小によって賄うと主張していました。しかし、カプレッタ氏は、これらの対策は議会の承認を得ておらず「違法」であると指摘しています。
関税収入への依存は持続不可能?
カプレッタ氏は、関税収入の増加は一時的なものであり、長期的には持続不可能だと主張します。関税は実質的に売上税のようなもので、税収のベースを法人税や所得税から関税に移しているにすぎないと指摘。関税収入を将来的な財源と考えるのは誤りだと断言しています。
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政府支出削減も議会承認が必要
また、トランプ氏に近い実業家イーロン・マスク氏が主導した政府効率化省(DOGE)による支出削減についても、カプレッタ氏は議会による承認と法案可決が必要だと述べています。
政府職員の大量解雇は違法?組織再構築の難しさ
トランプ政権とDOGEによる政府職員の大量解雇は、違法なケースが多いとカプレッタ氏は指摘。一度解雇された職員を復帰させ、組織を再構築することは容易ではなく、結果的にトランプ政権の人員削減は歴代政権よりも大規模なものになると予想しています。
専門家の見解:減税政策の長期的な影響
カプレッタ氏のような専門家は、減税政策のメリットよりも、財政赤字の拡大や政府機能の低下といったデメリットを懸念しています。減税は経済成長を促進する効果があるとされていますが、その効果は限定的であり、長期的には財政の持続可能性を脅かす可能性があると指摘されています。
減税政策の功罪:今後の議論の行方
減税政策は、経済成長、雇用創出、財政健全化など、様々な側面から評価する必要があります。短期的な経済効果だけでなく、長期的な財政への影響も考慮した上で、慎重な議論と政策決定が求められます。