大阪市立文の里中3年の森下偉有(よりあり)さん(14)が、国家資格「甲種危険物取扱者」に独学で合格した。合格当時は中学2年の3学期。試験には大学卒業レベルの化学の知識が求められるため、中学生の合格は全国的にも珍しい。
危険物取扱者は、消防法で定められた危険物を取り扱う際に必要な国家資格。甲、乙、丙の3種類があり、乙種は危険物の種類・性質ごとに分かれているが、最上位の甲種は全ての危険物が対象で、幅広く高度な知識が必要となる。
小学4年生の時、元素の周期表に出合った偉有さん。「世界は元素でできている。(知識を得られるのが)楽しい」と、化学の本を買い込んで勉強し「気付いたら何時間もたっていた」ほど化学にのめり込んだ。
父貴博さん(44)はIT企業でシステムエンジニア(SE)をしており、母佳世さん(44)は主婦。ともに化学とは縁遠いという。佳世さんは、偉有さんが化学好きになったことを不思議がるが「助けてあげられることはないので、ただただ応援していた」と話す。
中学に進んだ偉有さんは、酸化鉄とアルミニウムの粉末を燃焼させると激しく反応する「テルミット反応」を知り、同資格の取得を思い立った。参考書を買い込んで学校の休み時間や自宅で独学を進め、1年時の3学期に「最初は不安だった」という乙種の一つに合格した。乙種資格は計4種類を取得し、甲種は2回目の受験で合格を果たした。
貴博さんは「何かに夢中になることには応援したい」と喜び、佳世さんも「疑問点を自分で調べるなど、情報収集の力が身についてきている」と目を細める。偉有さんは「将来はエネルギーを生み出す化学者になれたら面白そう」と目を輝かせた。【峰本浩二】