ここ最近の急激なインフレで、老後資金の目減りを危惧する中高年層が増えています。若いときからあれこれとガマンし、必死で節約して積み上げた老後資金が、インフレでゴッソリ減額してしまっては目も当てられません。悲惨な老後を回避するためには、どのような対策をすればいいのでしょうか? 経済評論家の塚崎公義氏が解説します。
長生きしている間にインフレが来て、老後資金が底を突いたら…
老後資金を考えるうえでの最大のリスクは「長生きしている間にインフレが来て、資金が底を突く」ことでしょう。長生きのリスクに備えるのは容易ではありませんが、公的年金を大事にすること、元気な間は働いて稼ぐこと、生活を見直して出費を抑えること、といった対策は有効だといえます。
インフレに備えるためには、やはり公的年金を大事にすることですが、それに加えて、老後資金の一部をインフレに強い資産に振り分けることが重要です。預金はインフレに弱いリスク資産なので、老後資金を全額銀行預金で持っているのはリスクなのです。
インフレに強い資産としては、株式と外貨が代表的でしょう。物価連動国債もインフレに強いのですが、その話は別の機会に譲りましょう。
老後資金、どの程度「株」と「外貨」に振り分ける?
老後資金のどの程度を株と外貨に振り分けるべきかは、インフレをどれくらい恐れているかによって異なります。ちなみに筆者は、賃金上昇によるインフレが続くと予想していますし、南海トラフ大地震による超インフレも怖いので、米国の株(実際には投資信託、後述)のウエイトを高くしています。
上記からご理解いただけると思いますが、筆者が老後資金で株を買っているのは、「株式投資で儲けてリッチな老後を過ごそう」というよりも、「株を買わないと、インフレが来たときに惨めな老後になってしまうので、それを避けよう」という消極的な株式投資です。ガツガツ儲けようとするとリスクを抱え込むことになりかねないので、老後については「ワクワクするより、ハラハラしない」を大切にしているのです。