わが家に「売るほどある」モノを見ると、家計がどこでつまずくかわかってくる。玄関、キッチン、とっておきのものを保管する場所――くまなく見て「お金がたまらない家」にありがちな7つのものがあふれていないか、チェックしよう。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
● 「売るほどある」発言は 政治家だけの話ではない
「コメを買ったことがない」「まさに売るほどあります」。前農水大臣の失言は記憶に新しいところだ。このご時世にコメに困らないのはうらやましい限りだが、それが失脚の引き金になるとは皮肉だ。
昔聞いた話だが、ある名士の奥様が「お中元お歳暮の時期はとんでもない数が届いて、整理しているうちにノイローゼになりそうで辛い」と言い、周囲が唖然としたとかしないとか。
人の悩みはそれぞれで、何事も「売るほどある」のは災いの元なのかもしれない。政治家だけではない。私たちの家にもそういうモノはきっとある。わが家に「売るほどある」モノを見ると、家計がどこで躓くか、わかってくる。次のような7つのものがあふれていないか、家の中を見渡してほしい。
1 試供品やノベルティグッズ
買い物のついでに渡された試供品や、イベントに参加した際にもらったノベルティグッズが「売るほど」溜まっている家は、無料というキーワードに弱そうだ。文字通り試供品として使ってしまえばいいのだが、なんだかもったいなくて、しまい込んだままどんどん増えていく。
必要か必要でないかという判断より、タダでもらえること自体が魅力なのだ。無料好きの人は、新規開店のオープニングセールでドーナツ1つもらえると聞くと絶対足を運ぶ。結果、1つではすまずに全部で5つ買ってきたりするのだが……。
「アプリを入れると今日から割引になります、さらに初回ポイントがもらえます」と聞いて、素直に会員登録する人も、同じような気質がありそうだ。スマホの中が一回しか利用していないアプリでぎっしりの人は注意したほうがいい。「もうすぐポイントが切れます」という通知に、もったいないと惑わされるだけだから。
● 一番高い時に買っちゃってる… 天気予報チェックは怠るべからず
2 ビニール傘
玄関周りにコンビニで買ったビニール傘があふれている家は、お金を気軽に手放してしまう家。「出先で困ったら買えばいい」と簡単に考えているからだ。しかし、考えてみてほしい。需要が価格を決めるとすれば、急に雨が降った時の傘の価格は一番高いはず。安くする理由はない。
「高いかも」と思っても、目の前の豪雨を見れば仕方なくお金を払う。出がけに天気予報を調べて、折りたたみ傘を荷物に入れておけば、その高い価格で買う必要がないのだが。その時600〜800円くらい払ったとしても、所詮はビニール傘、使い捨て感覚で電車の中に置き忘れても平気だ。サイゼリヤならランチにドリンクバーをセットできるくらいの金額だというのに。
家の玄関にビニール傘が売るほどあったとしたら、家族中のお金の使い方を見直した方がいいというシグナルだろう。
3 ストック品
洗剤やら箱ティッシュやら缶詰やら……収納庫に売るほどストックがある家を見かける。いつか使うのだから、たくさんあってもいいんじゃないかと思うかもしれない。しかし、必要以上の量を買ってしまうのは、「安さに弱い」せいだろう。
まだ予備があると思っていても、セールを見ると素通りできない。こんなに安い値段で買えた!という喜びは、節約上手だという満足感と重なる。必要だから買うのではなく、安いから買うという理由での消費にすり替わっていることに気づかない。
結果、どんどんストックが溜まってしまう。いつかは使うので、無駄な支出ではないと言いたい気持ちはわかるものの、その金額をもっと必要なものに振り向けたほうが、より有効な使い方ができるのでは。「安く買えた」は、ほどほどにしておきたい。