自民党の西田昌司参院議員が3日に那覇市で開かれたシンポジウムで、沖縄戦で犠牲となった学徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)の説明について、「歴史の書き換え」などと発言したことが明らかになった。発言を受け、「ひめゆり平和祈念資料館」(同)の普天間朝佳館長(65)が8日、読売新聞の取材に応じ、西田氏が主張する内容を否定した上で、「(沖縄戦)体験者の思いを踏みにじる発言だ」と述べた。
シンポジウムは県神社庁などでつくる実行委員会が主催、党県連が共催した。西田氏は、20年以上前に訪れた際に見たとする塔の説明について、「日本軍が入ってきて学徒隊が死に、アメリカが入ってきて解放されたという文脈で書いている。歴史を書き換えられるとこうなる」と述べた。
普天間館長は西田氏の発言について、「塔の説明や開館以降の展示内容も改めて確認したが、そうした記述はなかった」と否定し、「体験者たちが思い出したくない記憶を呼び起こし、血のにじむ思いで互いに聞き取った証言が展示のベースになっている」と語った。
西田氏は7日、報道陣に対し、「沖縄戦は民間の方もたくさん犠牲になったが、日本人を守るために先人は戦った。県民の方々を傷つけるつもりは全くなかった」と述べ、発言を撤回しない考えを示していた。