「真実はいつもひとつ」という主人公の決め台詞風に言えば、熱狂的なファンにとって「ヒロインはいつもひとり」のようだ。人気アニメ「名探偵コナン」のフィギュア販売を巡り、中国の玩具メーカーが公開した製品を紹介する動画に登場人物・毛利蘭のファンが過敏に反応。メーカーはSNSで謝罪するとともに動画撤回に追い込まれた。複数の中国メディアが報じた。
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炎上したのはBLOKEES(布魯可)が5日に公開した動画。同社は「NARUTO―ナルト―」や「ウルトラマン」、米国の「マーベル」など多くのキャラクター製品を販売しており、「名探偵コナン」とのコラボ商品の宣伝用だった。動画は既に削除されているものの、主人公の江戸川コナンと本来の姿である工藤新一に加え、新一の恋人である毛利蘭、コナン同様に薬で体が小さくなった灰原哀が登場。ファンが問題視したのは、蘭の扱いだった。
蘭と灰原の2人がヒロインに見えることや、蘭が手前でひざまずいていることなどがファンの逆鱗に触れたようだ。短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」には「毛利蘭に謝って。謝り方も知らないのか?」「ファンを傷つけた」「ヒロインが1人だってことは誰でも知っている」などの投稿が相次いだ。
一方で「誰に謝れというのか?」「怒っているのはコナンファンではなく蘭のファンだけ」「(謝罪要求をする人は)15歳以下の子供」などの投稿もあった。
BLOKEES側は炎上を受け、6日に「キャラクター設定を正確に行えていなかった。今後はファンの期待に応えるようにする」と謝罪に追い込まれた。
新作映画「名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)」の国内興行収入は3作連続で100億円を突破した。今回の騒動は海を挟んだ中国でも、高い人気を誇っている証左ともいえる。
中国メディアの新浪財経は過去にもユニクロで販売したシャツで類似案件があったと指摘。コナンとコラボした10種類以上のTシャツの中にはコナンと灰原が見つめ合うデザイン、新一と蘭が抱き合うデザインがあった。今回と同じく、蘭を唯一のヒロインと考えるファンは猛反発。中国国内の店舗では、2つのシャツをそれぞれ折って、コナンと蘭が向かい合う商品配置にしたケースもあったという。同メディアは「コナンを巡っては毎年論争が起きる。今年は少し早かったようだ」と伝えている。