ロシアによるウクライナ侵略で、ペスコフ露大統領報道官は9日、ウクライナや米国が提案している30日間の停戦案について、「停戦という概念には多くのニュアンスがある。それに対する回答が得られない限り、停戦について語るのは非常に困難だ」などと述べた。タス通信が伝えた。ロシアは現状では30日間の停戦に応じられないとする立場を改めて示した形だ。
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ペスコフ氏のいう「ニュアンス」とは、プーチン露大統領が3月、30日間の停戦案に対して「条件付き支持」の立場を示したことを指している。プーチン氏は当時、停戦について「長期的な平和につながり、危機の根本原因を除去するものでなければならない」と指摘。停戦に同意するためには、停戦を誰が監視するかや、停戦違反が起きた場合に誰が責任を取るのかといった問題が事前に解消される必要があるとの認識も示していた。
一方、ロイター通信は9日、フランスの外交筋の話として、ロシアが30日間の停戦を受け入れない場合、米国と欧州が共同で追加の対露制裁を科す方向で最終調整していると報じた。
また、ロシアがウクライナの同意なく一方的に宣言した8日から10日までの「3日間停戦」を巡り、露国防省は9日、露軍が停戦に入った後、ウクライナ軍が5千件以上の「停戦違反」を行い、露軍が「相応の対応」をしていると主張した。
ウクライナメディアによると、ウクライナ軍の報道官も「露軍は停戦を宣言したにもかかわらず攻撃を続けている」と報告。ロシアが宣言した停戦は十分に機能していないとみられる。(小野田雄一)