“沈黙の臓器”の異名を取り、なかなか不調が顕在化しないのが腎臓の特徴ですが、東北大学名誉教授の上月正博氏によれば、毎日の食生活や運動習慣を変えることで、加齢とともに衰えていく腎機能を手助けすることができるそうです。
そこで本稿では、上月氏の著書『東北大学病院が開発した 弱った腎臓を自力で元気にする方法』から一部を抜粋・編集して、弱った腎臓をいたわる3つの生活習慣について紹介します。
■腎臓のために知っておきたい入浴法
お風呂に入って湯船につかると心地よい気分になりますよね。これは温熱作用による効果といえますが、体が温まることで皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がるため、平温時よりも血液の流れがよくなります。
これによって新陳代謝が活発になり、体内の老廃物や疲労物質が取り除かれることで、疲労やコリ、痛みが和らぐため、リラックス効果が得られるのです。
また、血流の促進によって腎臓の機能も活発になるため、利尿作用もはたらくようになります。
腎臓にとっても有意義な入浴ですが、注意しなければならないポイントもあります。
まず入浴のタイミングですが、できれば食事の前に済ませておきましょう。ただし、脱水には気をつけなければならないので、入浴前にはコップ1〜2杯、できれば常温の水を飲んでおいてください。
そして、入浴は急激な温度変化によって血圧が上昇し、重篤な心血管疾患を引き起こす可能性があります。とくに冬場はヒートショックの危険もあるため、脱衣所や浴室を暖めておくよう心がけましょう。
湯船につかる際は、心臓に遠い部分からかけ湯をしてから入ります。温度は38〜40度程度のぬるめのお湯が最適で、首までつからずに、みぞおちあたりまでの半身浴にすれば、心臓にかかる圧力の負担を軽減できるでしょう。
湯船から上がるときも一気に出るのではなく、お風呂の縁に腰掛け、ゆっくりと段階的に出るようにしてください。入浴後の湯冷めも要注意です。
また、透析療法を受けた日の入浴は、針跡から細菌が侵入するリスクもあるため、湯船につからずにシャワーだけで済ませるようにしましょう。