嬉しいような、困ったような表情に…母を喜ばせるため「タンポポの花束」を作った知的障害のある小学生→母親が素直に喜べなかった「意外すぎる理由」


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「あなたの知能は小学3年生で止まっている」――中1の夏に教師から衝撃的な言葉を言われた、ラッパーの札幌のギャグ男さん(28)。診断名は知的障害と、パニック障害だった。小学生の頃はそうした性質ゆえか、人とのコミュニケーションに苦労したことも…。ここでは彼が母親のために「花を盗んだ」エピソードを紹介 『普通じゃない:知能が小3で止まった僕がラッパーをやっているわけ』 (彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 最初から読む )

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母のために「人の家の花を盗んだ」少年時代

 ここまでは、普通にいい話だって思うでしょ?

 でも、その花束の出所がマズかった。俺は人ん家の庭から、きれいだと思う花を根こそぎ盗ってきてしまってたんだ。

 その家の人から電話がきて、母さんはまたしても謝りにいくハメになった。

 じゃあこれでどうだ、って思って、俺は次の月に大量のタンポポを摘んで帰った。もちろん、誰のものでもない、そのへんに生えてるやつだよ。学校の帰り道に片っ端からかき集めてきて、母さんに渡した。これで大丈夫だ、きっと喜んでくれるはずだ。

 ……でもダメだった。母さんは、タンポポアレルギーだったんだ。今じゃ笑い話だけど、当時はそれなりにショックだったな。なんで俺って、こんなに何もかも上手くいかないんだって思った。

「タンポポは好きだけど、もう大丈夫だからね」って、母さんは嬉しいような、困ったような顔で俺に言った。

 でもさ、そんな俺にも優しくしてくれる人だっていたんだ。

優しかった兄の存在

 俺の誕生日パーティーに、同い年の友だちはひとりも来なかった。

 だけどその代わりに、兄ちゃんの友だちがたくさん来てくれた。兄ちゃんをきっかけに、みんな俺と仲良くしてくれてたんだ。

 同い年の輪には、全く入れてもらえてなかった。遊びにも誘ってくれないし、みんなが作った秘密基地にも入ることは許されなかった。

 それを兄ちゃんたちに相談すると、みんなは、「じゃあ、俺たちでもっとデカい秘密基地を作ろう!」って言ってくれた。

 本気で嬉しかった。この人たちといれば、きっと大丈夫だと思った。

 俺たちが作った秘密基地は、同い年のものとは比べ物にならないくらいデカくて、カッコいい出来だった。俺を仲間外れにしてたヤツらも羨ましがって、「僕らも入れてよ」なんて言ってきたくらいだ。

 兄ちゃんたちは「どの口が言ってんだ」って追い払おうとしてくれたけど、俺は「いいよ。一緒に遊ぼう」って入れてあげることにした。心の底では、「同い年のみんなとも仲良くしたい」って気持ちがどうしてもあったんだ。

 だけど、そんな楽しい毎日も長くは続かなかった。



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