「清流の里」の水道水で食中毒の衝撃 群馬・神流町 掘削調査で農業用水流入を確認


【ひと目でわかる】水道水で食中毒「カンピロバクター食中毒」の患者数と事件数

■神流川は水質最良な全国17河川の一つ

令和5年の国土交通省調査で「水質が最も良好な全国17河川」に選ばれた清流・神流川が中央を流れる神流町。役場のある中心部から長野側へ数キロ行った相原地区で住民が腹痛や下痢などの食中毒症状を訴えたのが、4月11日。その数は9歳以下から80代までの男女14人で、いずれも相原配水池のタンクから供給された水道水を飲んでいた。

神流町が中の水を調べたところ、「一般細菌数」が水質基準の1・5倍にのぼり大腸菌も検出。さらに複数の住民の便から鶏や牛、野生動物などの腸管内に生息する細菌「カンピロバクター」が検出された。

県は29日、この水道水を飲んだことによる食中毒と断定、公表した。ただ入院した人はおらず、いずれも快方に向かっている。

■「排水管から水がタンクの中に」

タンクは30立方メートルほどの大きさで、高台にある相原丹生神社裏の斜面に埋設されている。さらに上部にある浄水場で塩素処理された水がタンクに送られていて、水があふれたりすると直径5センチほどの排水管から放出する。食中毒発覚後、町の担当者が水を抜き空にしたタンク内に入ったところ、「排水管から水がチョロチョロとタンクの中に流入していた」(担当者)。

タンクから3メートルほど離れた位置に農業用水用タンクも埋められており、こちらは近くの沢の水を引いていて塩素処理などはされていない。このため県では「沢に野生の鳥などが落とした糞(ふん)尿が農業用水に入り込み、何らかの原因で排水管から飲料用水タンクに流れ込んだ可能性もある」としていた。

なぜ農業用水は流れ込んだのか。地中にある2つのタンクの排水管がつながっている可能性も取り沙汰されたが、町の担当者は「あくまで可能性で断定はできない。とにかく掘ってみなければわからない」と話していた。



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