「自分と平等であれ」と夫や家族にも求めていますか? キャリアを犠牲にすべきは女性のほうだという「空気」を変えるには


そこでこの連載では、グッチグループジャパン(現ケリングジャパン)やラッシュジャパンなど名だたる外資系企業で人事統括責任者を務め、人事のプロとして株式会社「We Are The People」を起業した安田雅彦さんに、職場における「女性活躍」の考え方や、子育て中の女性社員のサポートのあり方などを、解説していただきます。

【女性に立ちはだかっている「壁」を変えるには】

たとえこれらの「壁」がなくなったとしても、子育て世代の女性のキャリアには、どうしてもまだ「ガラスの天井」が立ちはだかっているように感じます。この空気を変える手立てはあるのでしょうか。

日本の産休・育休制度はほぼ完成形!?

給与がこの金額を超えると所得税が発生する103万円の壁。配偶者の扶養を抜けて社会保険の加入義務が発生する130万円の壁……。

こうした「壁」の多くは、男性たちがバリバリ働くために、女性たちが「主婦」であることを求められた時代の、負の遺産といえるでしょう。

僕は1993年に人事部に配属されて初めてこの「103万円の壁」について知りました。「こんな制度じゃ、働きたいと思えないよな」と思ったことを、よく覚えています。だってこれ、たくさん働くことで「損」した気分になる制度ですからね。

でも、時代は変わりました。女性たちは男性のキャリアを支える存在として制限的に働くのではなく、自分自身のキャリアを追求するために、大いに働ける社会へと変化を遂げました。

そこで今回は、女性が真にキャリアを追求するために必要な、「空気」を変える手立てについて、お話ししたいと思います。

まずは日本の産休・育休制度ですが、女性に関していえば、じつは、ほぼ完成形に近づいているんじゃないかと思います。ユニセフ(国連児童基金)が2021年に発表した報告書では、日本の育休制度を「世界1位」と評価したほど充実しています。



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