あなたは賛成? それとも反対? 政府が検討を進める「全国民への現金給付」について、世論は大きく割れています。過去の給付で見えた課題や、国の財政状況を踏まえると、減税の方が効果的だと考える人もいるでしょう。
この記事では、給付の効果と課題を知ったうえで、自分なりの考えを持つためのヒントをお届けします。
なぜ今、全国民への現金給付が検討されているのか?
政府が全国民への現金給付を検討している背景には、物価高騰や景気の低迷といった経済的な課題があります。特に、消費の冷え込みが懸念される中で、現金給付によって個人消費を刺激し、経済全体の活性化を図る狙いです。
また、急な失業や収入減少に直面した生活困窮者への支援としても、現金給付は有効な手段とされています。給付金は他の経済対策と比較して内容が分かりやすく、迅速な支援が可能であるという利点もあります。
現金給付に対する国民の反応とその理由とは?
現金給付に対する国民の反応は賛否が分かれています。ある企業の調査では、「評価する」が20%にとどまり、「評価しない」が57%と、多くの国民が否定的な意見を持っていることが明らかになりました。
否定的な意見の背景には、過去の給付金が消費に十分に回らなかったという経験があります。内閣府が公表している「政策課題分析シリーズ」によれば、特別定額給付金による消費増加効果は、給付額の22%程度と推測されたと記しています。
また、現金給付が一律で行われることに対する不公平感や、財政への影響を懸念する声もあります。特に、高所得者層にも同額の給付が行われることに対して、効率性や公平性の観点から疑問を持つ人が多いようです。
現金給付の経済効果と効率性の課題とは?
現金給付の経済効果については、さまざまな試算が出されています。野村総合研究所の試算によれば、一人一律5万円の給付金はGDPを+0.25%程度押し上げるとされています。一方で、同規模の消費減税では+0.51%程度の効果が見込まれているため、給付金よりも減税の方が経済効果が高いといえるでしょう。
また、内閣府は、特別定額給付金による消費増加効果が給付額の22%程度にとどまっていることを公表しています。これは、給付金の多くが貯蓄に回ったことを示しており、消費喚起の効果が限定的だった可能性が高いと考えられます。
さらに、現金給付の効率性については、政策の設計によって大きく左右されます。一律給付では、所得の高い層にも同額の給付が行われるため、効率性が低くなるかもしれません。一方で、所得制限を設けると、給付対象の選定や手続きが複雑化し、迅速な支援が難しくなるという課題があります。