“カスハラ問題化”で客は沈黙するしかないのか… サービス低下を実感した3つの出来事


「職員の対応」は「一因」でもないのか

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 実際、4月25日に総務省が発表した地方自治体におけるハラスメントに関する職員アンケート結果でも、カスハラを受けた経験があるという回答は35.0%におよんだ。では、なにがきっかけでカスハラを受けたのか。職員の72.5%が「行政サービスの利用者・取引先の不満のはけ口・嫌がらせ」と答え、「職員の対応が一因」とする回答は17.5%だった。

 たしかに、不満のはけ口にされたり、根拠のない嫌がらせを受けたりしたらたまらない。しかし、「職員の対応が一因」ではないと答えた人たちの対応は、本当に問題なかったのだろうか。「対応に問題はなかった」と思い込んでいる、あるいは、そう思いたいだけ、ということはないのだろうか。

 カスハラが働く人の心身に深刻な影響をあたえる可能性がある以上、対策が必要であることは論をまたない。だが、現状では、カスハラを受けたかどうかの判断が、受けた側の主観に拠りすぎていると思われる。受けた側が、自分の対応には問題がなかったと判断しても、迷惑行為におよんだ側に聞けば、まったく逆の回答が得られるかもしれない。

 最近、「カスハラ」「カスハラ」と喧しいため、従業員などの対応に問題があっても怖くて苦情をいえなくなった、という声をよく聞く。その結果、対応のまずさを指摘される機会が失われ、各所でサービスの質が低下すれば、カスハラの逆の事態、すなわち客へのハラスメントにもつながりかねない。



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