5600年前の人骨を基に模型を復元
縄文時代前期、八ケ岳山麓に暮らしていた女性がよみがえった―。長野県南牧村は、村内にある縄文時代の遺跡「志(し)なの入(いり)遺跡」で見つかった5600年前の人骨を基に縄文人の模型を復元し、村美術民俗資料館に展示した。全身のかなりの部分が残る人骨は、身長144センチの50代女性と推定されており、模型も同じ身長と年代の女性を再現。黒曜石の石器を持って笑顔で座る。服や装飾品のほか、顔のしみやしわまで精巧に作った。
髪の毛は人毛を使用
人骨は1971(昭和46)年に出土。研究のために村外に移された後、2020年に村に戻り、昨年から同館で展示されている。繊維強化プラスチック製の模型は、高い鼻や二重まぶたなど縄文人の顔の特徴も再現し、髪の毛や眉毛、まつげなどは人毛を使用している。元となった人骨と隣り合って展示され、顎の骨や背骨、あばら骨、骨盤などと比べて見ることができる。
専門業者が10カ月かけた力作
国立科学博物館(東京)の馬場悠男名誉研究員(人類学)と、日本旧石器学会長を務める明治大黒耀(こくよう)石研究センター(長野県長和町)の堤隆特任教授(考古学)が監修。約330万円の村費で、専門業者が10カ月間かけて作った。堤さんは「生き生きとした表情で、とてもクオリティーの高い模型が完成した。実際に見て縄文時代を感じてもらいたい」と話す。
村の誇りになるか
有坂良人村長は「時を超えてよみがえった模型が縄文の心や暮らしを伝え、村の誇りになることを願う」と話した。
午前9時~午後5時開館。月曜休館。入館料は大人300円、小中学生250円。