トランプ米大統領は13日、中東3カ国歴訪の最初の訪問国となるサウジアラビアの首都リヤドに到着し、事実上の最高権力者ムハンマド皇太子と会談した。トランプ氏は「我々はお互いのことをとても気に入っていると本当に信じている」と両国の友好関係を強調した。
今回の訪問ではサウジが巨額の投資を米国で行うことや米国製武器を大量に購入することなどで合意する見通しだ。トランプ氏は「ディール(取引)」を成立させ、国内への投資呼び込みや雇用創出など経済面での成果をアピールする。
トランプ氏は会談で、サウジの対米投資は大きな雇用創出につながると強調。「米国は世界最高の製品や軍事装備品を持っている」と話し、投資や軍事装備品購入の意向を示しているムハンマド皇太子への謝意を表した。
トランプ氏は2期目の就任後、本格的な外国出張は初めて。サウジは、トランプ氏が1期目に最初に訪問した国でもある。2期目も最初の訪問国になる見通しだったが、4月にフランシスコ前ローマ教皇の葬儀で急きょバチカンを訪れた。
トランプ氏は2期目就任直後の1月にも、初の外国首脳との電話協議となる相手に選んだ。ムハンマド皇太子はここで今後4年間で6000億ドル(約89兆円)を米国に投資すると述べた。トランプ氏はさらに1兆ドル(約148兆円)まで引き上げるよう求めており、今回はこれらを踏まえた合意になる見通しだ。
米国製の武器売却を含む防衛協力の強化や、サウジ側が求めている民生用の核開発計画などについても協議するとみられる。
両国間関係のほか、米国とカタールが仲介しているパレスチナ自治区ガザ地区を巡るイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦協議、米国とイランによる間接協議が続いているイラン核開発問題、サウジが協議の場となっているロシアとウクライナによる和平交渉に関しても意見交換する。
トランプ氏は1期目に、アラブ首長国連邦(UAE)などアラブ4カ国とイスラエルが国交を樹立する「アブラハム合意」を仲介した。2期目は、この合意に「アラブの盟主」を自任する地域大国のサウジを参加させ、中東地域の安定化を狙う。ただし、ガザでの戦闘と人道的危機が続いており、サウジがイスラエルとの合意に向けて交渉を進展させられる状況にはない。
トランプ氏は、リヤドでペルシャ湾岸6カ国で作る湾岸協力会議(GCC)首脳らとの会議に臨むほか、カタールではタミム首長、UAEではムハンマド大統領とそれぞれ会談する見通しだ。【リヤド西田進一郎】