米国のドナルド・トランプ大統領がカタール王室から受け取った高価なボーイング747-8型航空機をエアフォースワンとして使用するためには従来のセキュリティ規定を相当部分放棄しなければならないという指摘が出ている。
13日(現地時間)、ワシントン・ポスト(WP)によると、米軍や国防総省、大統領警護隊(シークレットサービス、SS)のOBや現職関係者たちは該当航空機をエアフォースワンの基準に合致するように改造するためには数年という時間と数十億ドルが必要になり、トランプ大統領が2029年1月任期終了前までにこれを完了させるのは事実上不可能だと明らかにした。
これに先立ち、トランプ大統領は12日、ホワイトハウス記者会見でカタール王室から4億ドル(約588億円)相当のボーイング747-8型機を贈られ、これをエアフォースワンとして活用すると公式発表した。
現在同機はテキサス州サンアントニオ国際空港にあるが、改造作業がすでに始まっているという解釈もある。
しかしWPによると、エアフォースワンの運用に精通した当局者OBは「エアフォースワンは核攻撃にも耐えられるほどの空中指揮所で、多層的なセキュリティ体系を備えていなければならない」と指摘した。このOBは同機が外国政府と民間によって使用された履歴があるため、これをセキュリティ基準に合わせるには事実上分解して再び組み立てなければならないと説明した。
トランプ第1期政府でSSとして勤務経験のあるポール・エクロフ氏は「すべての大統領専用交通手段は生産ラインを通過した後、厳格な検査を経る」として外国政府が提供した航空機はより一層徹底した検査が必要だと話した。エクロフ氏は「『このナットはここになければならないか、このボルトがここに合うか』としながら航空機をインチ単位で点検する」と付け加えた。
米空軍部の元長官のフランク・ケンドール氏も「防諜問題も懸念される点」とし、盗聴装置設置の有無に関する精密点検が必要だと話した。また「トランプ大統領がこのすべての慎重な点検を免除することができる」とし、大統領であり最高司令官としてセキュリティ要求事項の大部分を省略する権限があると明らかにした。
トランプ大統領が贈られた航空機をエアフォースワンとして使おうとしている背景には、現在運用中のエアフォースワンが30年以上経った旧型であり、トランプ第1期の時に契約した2機の新型747-8型機は引き渡し日程が2027年と2028年にずれ込んだ点が作用したとみられる。
米空軍高位関係者は最近の議会でセキュリティ基準の緩和により、2027年までに2機のエアフォースワンの引き渡しが可能だという報告があったと明らかにした。
空軍高位官僚のDarlene Costello氏も下院軍事委員会に出席して「その日程を保証することはできない」とし、2027年引き渡しのためには一部妥協が必要かもしれないと話した。