兵庫県の斎藤元彦知事ら県幹部約120人が5月12日に、パワハラ防止や公益通報者保護制度についての研修を受けた。昨年3月に斎藤氏らによるパワハラなど数々の疑惑が内部告発されるとともに、内部告発した元県民局長が処分されるなど公益通報者への対応も問題視された。このため、県の公益通報窓口が研修の実施を求めていた。
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研修は約4時間半と長時間に及んだ。「パワハラ防止」「公益通報者保護制度」「個人情報保護」の3部構成で、斎藤氏はじめ約30人の幹部が会議室で直接講師から話を聞き、残り約90人がオンラインで研修を受けた。
■パワハラ事例は「斎藤知事に該当することばかり」
メディアに公開されたのは各部の冒頭だけで、研修の詳細はわからないが、実際に研修に参加した県幹部Aさんに話を聞いた。
「研修を受けてまず感じたことは、なぜ自分がこの研修に参加しなければいけないのか、ということでした。参加すべきは斎藤知事や、そばで支えた側近たちです。研修の内容は、県の職員として日常的に仕事をしていれば、ごく普通に留意していることが大半です。私は公職につく者としてパワハラや個人情報には、常に注意を払っているので、時間の無駄でした」
Aさんは白けた表情でこう話した。
斎藤氏は研修前、その意義について、「風通しのよい職場環境をつくるため」と語っていた。しかし、Aさんは言う。
「内部告発されたパワハラなどの内容はほぼほぼ当たっていて、風通しが悪い職場にしたのは斎藤知事でしょう。昨年秋の知事選で再選した後、斎藤知事は職員との会食を設定してコミュニケーションを取ろうとしていますが、参加した人からは、『知事は自分がしゃべった内容がマスコミに漏れるのではないかという警戒心が先にあるようで、よそよそしく、和やかになんてしゃべれる様子ではなかった』と聞きました」
研修では実際のパワハラ事例を講師が説明したといい、Aさんはこう話す。
「みんなの前で大声で叱り飛ばす、人格を否定するようなことを言われる、休日出勤でも終わらない仕事を強要される、などがパワハラだとされていました。みんな斎藤知事に該当していることばかりだと思いました」
確かに3月に公表された県の第三者調査委員会の調査報告書では、斎藤氏が深夜に大勢の職員に送ったチャットで個人を叱りつけたり、説明も聞かず一方的に叱ったり、机をドンドンと叩いて怒ったりしたことなどが、「パワハラ」と認定されていた。