参政党が全国各地で議席を増やしている。元外交官で作家の佐藤優さんは「所属議員は都道府県・市区町村議会に150人近くおり、同じく右寄りの日本保守党に比べて、しぶとい生命力を感じる」という。元東京都知事の舛添要一さんとの共著『21世紀の独裁』(祥伝社新書)より、一部を紹介する――。
■右寄りの思想で、ネット保守層が支持
【舛添要一】まず、参政党について述べさせてください。同党は神谷宗幣さんたちが2020年4月に結党し、衆議院で3、参議院で1議席を有しています(2025年5月現在)。
※編集部註:2025年6月、所属国会議員が5人となり、公職選挙法上の政党要件を満たした。
掲げる綱領は以下の三項です。
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一、先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。
一、日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する。
一、日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる。
(参政党公式サイト)
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かなり右寄りであることがわかります。これを、200万〜300万人いると言われるネットの保守層、いわゆる“ネトウヨ”が支えました。その結果、同党は先の衆院選(比例代表)で187万347票を獲得し、3議席を得たわけです。
■政策の根幹は「外来のものは拒否する」
参政党は「三つの重点政策」として、「教育・人づくり」「食と健康・環境保全」「国のまもり」を謳っていますが、個別の具体的政策では反LGBT、反ワクチン、反移民などが異彩を放ち、同じ保守政党との違いが際立つように思います。
たとえば2023年6月に成立したLGBT法(性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)には国会で反対し、同法施行後も「(LGBT法の)急進的な推進で社会的影響への懸念がある」と、政府に質問主意書を提出しました(2025年1月24日)。
また、新型コロナウイルスのmRNAワクチンやレプリコンワクチンの接種に反対を唱えていますが、私はここに排外主義的な保守の要素を見出します。約(つづ)めて言うと、外来のものは拒否するということです。