朝ドラ『あんぱん』54歳俳優がとにかくカッコいい。20年以上前の主演作でも光っていた“軽妙さ”


【画像】とにかくカッコいい…!朝ドラ『あんぱん』に出演する竹野内豊

 ほとんど演技らしいことをしていないように見える初登場場面。登場の瞬間から、視聴者を魅了するからである。

 初登場場面が、なぜこんなにも素晴らしいのか。過去に出演した名作ドラマから考える竹野内豊の軽妙な演技。男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。

スリーカットの竹野内印

 ローポジションに置かれたカメラが、上手から下手へゆっくり移動する間に、寛が医院前に自転車を停車する。白衣を翻して軽快に自転車から降りる。その後ろ姿だけで、もうすごくいい。

 次のカットは診療室内。本を開いている寛の元に、お手伝いさんが東京から客人がきたことを告げる。「おぉ」と短く応答。さらに次のカットで「ん」と「お」(なのか「ほ」なのか)の間の音で応答。ずるいよ、竹野内さん……。たったスリーカットで2回ベルを鳴らして、2回応答しただけなのに、いとも簡単に竹野内印をペタッと刻印しながら視聴者を魅了してしまうのだから。

現場でまとう空気感そのもの

 嵩の弟・柳井千尋役の中沢が、撮影終わりの竹野内が現場から帰っていくときの何気ない佇まいがとにかくカッコいいという主旨のことを話していた。これは容易に目に浮かぶ。

 さりげなく自転車を走らせ、ベルを鳴らして、降りる。次のカットで短い相槌だけで場面を成立させてしまう自然な流れは、現場の竹野内がまとう空気感の延長にあるように感じられる。



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