意味を知ればゾッとする…習近平とプーチンが笑顔で握手、その裏で進む「台湾包囲」の新たな作戦


 5月9日、前日に続き大阪・関西万博の会場を視察された天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが、シンガポール館を訪れた際、夢をタッチパネルに描くコーナーで「世界平和」と記された。

 筆者もそう願わずにはいられないが、ウクライナ戦争やインドとパキスタンによる軍事衝突は、停戦合意すら容易ではなく、国際社会は、トランプ関税を機に、アメリカへの憤怒と不信であふれている。

 その間、中国は、台湾侵攻を想定した軍事演習を続け、貿易戦争化しているトランプ関税に関しては「いじめ」と批判し、これまで中国からの投資や貿易拡大に慎重だったEUをはじめ、アフリカや東南アジア諸国にも接近を図っている。

 他方、中国からの輸入品に145%もの関税をかけたアメリカは、最近になってトランプ氏が「80%が妥当」などと言い始め、2国間で協議の枠組みを設ける方向にはなった。しかし、世界地図で見ると、「アメリカvs中国+国際社会」という貿易戦争の構図が出来つつあるのは、残念であり危険というしかない。

 そうした中、4月29日、中国外務省が2分あまりの動画、「不跪!Never Kneel Down!」(屈するな、ひざまずくな)を公開した。日本では一部のメディアでしか報道されなかったが、これが実に興味深い。

 「アメリカが世界の代表ではない」「すべての国が背筋を伸ばせば、高い壁を打ち破れる」「我々は、中国のため、世界のために戦い続けねばならない」といった強い語調のナレーションが続く。

● 嫌われ者同士の中ロ首脳が 結んだ軍事同盟

 その中国は、習近平総書記(国家主席)が4月14日からベトナム、マレーシア、カンボジアを歴訪したのに続き、5月7日には、ロシアの「第2次世界大戦・対ドイツ戦争記念日」に合わせてモスクワ入りした。

 そして、さまざまなメディアで報道されているとおり、8日にはプーチン大統領と首脳会談、9日には軍事パレードをプーチン氏の隣で観覧する蜜月ぶりを見せた。

 ただ、これを単なる「蜜月アピール」ととらえてはいけない。東南アジア3カ国歴訪もそうだが、習近平氏が外国を訪問する際は、相応の計算が必ずある。

 習近平氏とプーチン氏は過去に40回以上、会談しているが、今回の首脳会談後に発表された共同声明2つを見ると、その狙いがよくわかる。

 1つは日本に対し「歴史問題で言動を慎み、軍国主義と決別せよ」というもの。そしてもう1つは、「中ロ両国は軍事技術協力を強める」「台湾は中国の領土の一部であることをロシアも確認する」という内容である。

 この2つの共同声明は、端的に言えば、アメリカおよびアメリカに追随する日本を抑え込むための軍事同盟宣言である。その狙いを要約しておく。

 (1)歴史を裏付けとすることで、中国が目論む台湾統一、ロシアによる北方領土占拠とウクライナ侵攻の正当性を相互に認める。
(2)日本の防衛費増加をけん制し、中国が台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)の統一に動いた場合、手を出すことは許さないとの強い意思を明確にする。
(3)アメリカ軍を想定し、中ロで軍事技術開発、合同軍事演習、定期的な海空の合同パトロールを強化していくと宣言する。

 振り返れば、中ロ両国は1996年に「戦略的協力パートナーシップ」を締結して以降、共同声明の声明のタイトルに「全面的」というワードを付けるようになった。そして、習近平氏が総書記に就任して以降は「新時代」という言葉まで付記されるようになった。



Source link