万博開催中の大阪の参院選候補をめぐって、自民党が大紛糾している。自民党は全国の参院選選挙区で唯一、大阪だけ公認候補が決まらない「異常事態」(大阪府連幹部)に陥っていたが、石破茂首相は5月12日の党幹部との会議で、現職の太田房江・自民参院副幹事長を公認する方針を決めた。
太田氏は大阪府知事を2期務めて現在参院2期目、いわば「大阪自民の顔」でもある。ところが、この決定に自民党大阪府連会長の青山繁晴・参院議員がSNSで「石破総理がきのう5月12日月曜に突然、大阪府連に諮ることなく、参院選について介入されました」と「反対」を表明し、対立する事態に発展したのだ。
本誌・週刊ポストは、紛糾の裏に、太田氏が地方議員などに資金提供をもちかけていたという“選挙買収”工作疑惑の情報が広がり、大阪府連内で激しい反発を受けていた背景があるという情報を得て、大阪府連の議員や元議員たちを取材し、いくつかの重要証言を手に入れた。
そのひとつが大阪府連の実力者で、府下のある市の市議会議長を務めていたA氏の証言だ。6年前の参院選(2019年)の前、A氏が仲間の地方議員4人と居酒屋で食事していると、太田氏がやってきて、6人掛けのテーブルのA氏の正面の席に座ったのだという。A氏はこう証言した。
「太田は、『話があるの。選挙応援してよ。タダでとは言わないから』って、『200万円出すから』と言うんです。なめてんのか、と断わると、『じゃあ300万円』と。なんでそんな小銭で動くねんとまた断わると『じゃあ500万円』と太田が言った」
A氏はその申し出を断わって席を立ったという。さらにA氏はこの居酒屋会合の後も、同席していたB市議や太田氏との間で資金提供をめぐる話をしたと証言した。同席していた市議らに取材をすると、「会合はあったが、どんな話をしたかよく覚えていない」「Aと飯なんか食ったことない」など言い分が食い違う。B市議は居酒屋会合の存在などについて「すべて事実無根」とした。
一方で、別の元自民党代議士からは、今回の参院選をめぐっても、太田氏から“資金提供”をもちかけられ、断わったという証言も得た。