「同じものを買うなら、少しでも安く買いたい」そう思っても、あれこれ調べてベストにたどり着くのはひと苦労だ。満足のいくお金の使い方に近づくためには、1年を通して、安くなる「タイミング」を大まかに把握しておくことが大切。具体的な例を見ていこう(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
● 私たちの懐が暖かい時期に 大きな商戦を仕掛ける
大型連休で散財してしまった……という人は少なくないだろう。そもそも、年末年始や連休などのイベント中は気分が浮き立ち、「お金を使いたい」という意欲が高まるものだ。そうしたタイミングは売る側にとっては儲けのチャンス、あえて値段を安くしようとはしないものだ。
消費者側が出費を抑えるには、みんながお金を使う時ではなく「タイミングをずらす」ことが大事になる。お金を使ってしまった今だからこそ、消費者心理を分析しつつ、安く買うための方法を探ってみよう。
1 ボーナス支給時期は「高値掴み」タイミング
年間にいくつか大きな商戦といわれるものがある。夏のボーナス商戦、クリスマス商戦、年末商戦などだ。いずれも、夏冬のボーナスが支給され、手元に大きなお金が入る時期に重なり、消費意欲が高まるタイミングを狙っている。
いくら欲しいものがあっても、手元にお金がなくては買えないもの。売り手側としては、消費者がお金を持っている時期を狙って大きな商戦を仕掛けるというわけだ。
この時期では、節約マインドよりも「買いたい」心理の方が強まるので、売り手にとって大きな値下げをする必要はない。そうなると、誰もが買いたい気持ちが高まっているボーナス時期は、安く買えるタイミングとは言い難い。
逆に、ゴールデンウイーク後に当たる今は夏のボーナス支給前となるので、消費意欲がしぼんでいる時期だ。安く買いたいなら、人がお金を使いたくない時期がチャンスかもしれない。
● 生活家電を買い替えたい 在庫品が安く出回るのはいつ?
2 新生活需要ピーク終了を狙う
需要が高い時期ほどモノの価格が下がらないというのが相場の原則だ。価格を高くしても、欲しい人・必要とする人がいれば売れるからだ。例えば3〜4月は新生活向けの需要で、電子レンジや炊飯器などの生活家電や、新社会人や学生向けにPC等が多く並ぶ。
しかし、5月となれば、そのピークが終わり、夏ものへ移行するためにも在庫を売り切りたいタイミングとなってくる。もし買い替えたい生活家電があるなら、だぶついた在庫が狙い目だろう。もうすぐ夏物家電が売り場を占めてくるので、ボーナス商戦に突入する前に行動したい。
新生活向けが一段落し、かつ連休後の節約ムードが高まる時期は、大物が売りにくい時期でもある。売る側にとっても、値下げしてでも売り上げをしっかり確保したいはず。ただし、在庫商品から選ぶことになるため、お目当ての商品は手に入らない可能性がある点は覚悟を。
3 季節家電はまさに「ちょいずらし」
家電と言えば、そろそろ夏もの家電の時期が始まる。気象庁は2025年の夏について、全国的に気温は平年より高い予想と発表、近年続いているように「また猛暑」となる見込みだ。夏の季節家電と言えばエアコン。需要が高まるのは6月ころからと少し先で、ピークは7月のボーナス商戦になるだろう。
7月に入ると「需要の高まり」「新製品の投入」「夏のボーナス支給」の3つも価格引き上げ要因が重なってしまう。安く買える理由が見当たらないのだ。もしエアコンを購入する予定なら、今動く方がいい。5月時点では、今年モデルの新製品はむろん高めだが、昨年モデルなら値引きしやすい。ボーナス時期に向けて店頭在庫処分も進むだろう。
特にエアコンの場合、夏のピーク時は設置工事が立て込んでくる。時間も費用も余計にかかってしまう。その時期をうまくずらし、賢く早めに購入したいものだ。