【イスタンブール=蒔田一彦】トルコ・イスタンブールで16日に行われたロシアとウクライナの和平に向けた高官級協議は、捕虜交換の追加実施で合意し、協議を続ける方向でも一致したが、ウクライナが求める30日間の無条件停戦については物別れに終わった。露側は協議で「永遠に戦争を続ける用意がある」と威嚇するなど強硬姿勢を崩さず、和平交渉は今後も難航が予想される。
2022年3月以来となった両国の直接協議は、2時間足らずで終了した。協議後、両国の代表団は記者団に、双方が1000人の捕虜を近く交換することで合意したと明らかにした。
両国は協議継続の方向でも一致した。ただ、露代表団を率いたウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官が「交渉を継続する用意がある」と語った一方で、ウクライナ側の代表団トップを務めたルステム・ウメロフ国防相は「次のステップは首脳レベルの協議を開くことだ」との考えを示し、ロシア側が拒んだ首脳同士の協議を改めて求めた。
ウメロフ氏と共に取材に応じたウクライナ外務省の報道官は「露代表団は我々にとって受け入れがたい多くのことを主張した」と述べた。米紙ワシントン・ポストによると、メジンスキー氏はウクライナ側に対し、同国の東・南部4州全域からの軍撤退を要求し、「ロシアは永遠に戦争を続ける用意がある」「この場にいる誰かが、さらに多くの愛する人を失うかもしれない」などと戦争継続を辞さない構えを強調したという。
停戦に応じないロシアに対し、ウクライナは米欧の圧力強化を期待する。16日、アルバニアでの「欧州政治共同体」(EPC)首脳会議に出席したウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、英独仏などの首脳と共にトランプ米大統領と電話で会談。ウクライナ側の発表によると、ゼレンスキー氏はロシアに対する「強力な追加制裁」の発動を訴えた。