大きくひしゃげた自転車が衝撃の威力を物語っていた。大阪市北区で19日、タワーマンションから転落した住人男性(70)に自転車で通行中の男性が巻き込まれ、それぞれ死亡した。大阪・キタの繁華街に近く、小学生も含め多くの人や自転車が行きかう生活に密着した通路で起きた突然の巻き添え死。「怖くて前を通れない」と付近住民に衝撃が広がった。
死亡した男性が乗っていた黄色の自転車は、サドルから後部にかけて大破。後輪は強い力で圧縮されたように湾曲し、原形をとどめていなかった。ハンドルや前輪部分は直撃を免れたとみられ、前かごにはピンク色の袋のようなものが入っていた。
しばらくして警察官が自転車を車に乗せて移動させ、現場の規制線が解除されたが、周辺のコンクリートには血痕とみられる赤いシミがこびりついていた。
「近くのガソリンスタンドが爆発したのかと思った」。近くに住む60代女性は「ドーン」という衝突音の大きさをこう表現した。外を見ると倒れた男性の応急処置が行われていたが、すぐに救急車へ運び込まれた。「タワマンの前は怖くて歩けない」と声を震わせた。
現場マンションの住人で小学生の子供がいる30代女性は、学校からの連絡を受けて子供を迎えに行くといい、「もし下校時間に発生して、子供が巻き込まれていたら」と青ざめた様子で話した。住人の40代女性も「防ぎようがなく、ただただ怖い」と表情を曇らせた。