野生タヌキ注意報が発表された。
ソウル市保健環境研究院は都心に出没する野生タヌキを対象に狂犬病など人獣共通感染症10種とパルボウイルスなどイヌ科の主要疾病13種に対する精密検査をすると20日、明らかにした。全国地方自治体のうち野生タヌキ対象の各種検査をするのはソウル市が初めて。検査はソウル市野生動物救助センターの協力を受け、都心の公園や住宅街などで救助されたタヌキから関連試料を採取する方式で行われる。
タヌキに対する精密検査を始めるのは、都心で野生タヌキを見る事例が増え、人獣共通感染症を移す可能性が高まっているからだ。
研究院側は「タヌキはイヌ科の動物で飼い犬と似たウイルス・細菌性疾患にかかるおそれがあり、人・ペットともに病原体を伝播することがある」と説明した。
◆タヌキ救助件数が増加
昨年のソウル研究院の報告書「ソウル都心地出没野生タヌキ実態調査および管理案」によると、ソウルの面積の約32%がタヌキ生息可能地域であり、25区のうち24区でタヌキが観察された。タヌキ救助件数も2022年の63件から昨年は117件へと増加傾向にある。
さらにソウル市保健環境研究院が昨年10月から今年初めまで事前調査をした結果、救助されたタヌキと採取されたダニから人獣共通感染症とペット関連の病原体が多数確認された。ただ、かまれた場合に被害が大きい狂犬病は検出されなかった。
タヌキ対象のモニタリングと検査は年中常時進行される。ソウル市は人と野生動物が共存するためには▼野生動物に餌を与えない▼先に近づかない▼刺激しない--などと距離を置くよう呼びかけた。
ソウル市保健環境研究院のパク・ジュソン院長は「今回のモニタリングは人と動物、環境の健康を統合的に考慮するワンヘルス(One Health)概念に基づく能動的な対応であり、検査の結果に基づき科学的かつ体系的な防疫および保健政策を用意する」と伝えた。