「黒いやつ、石とか入っている」もう一つの農相発言、コメ農家から怒りの声広がる


【写真】与党内で辞任論が浮上した江藤農相

 「どうして玄米にいろんなものが混じるのか」。佐賀市でコメ販売店を営む女性(80)は19日、ニュースで江藤氏の発言を知り、疑問に感じた。店では週に計300キロ超、県産の玄米を卸業者から仕入れている。「石なんか目立つものが入っていることはない。江藤さんは、田んぼで収穫されたものをそのままもらっているのではないか」といぶかる。「あの発言だと、商品としての玄米に不純物がいっぱい入っているような印象を受けてしまう」と、消費者の誤解を懸念した。

 江藤氏は18日に佐賀市内のホテルで行った講演で、備蓄米放出でコメ価格が下がる効果が出ていないことを陳謝。農林水産省が16日に打ち出した、小売業者に迅速に届けるための対策を説明した。入札に参加する全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者が、米穀店などに直接渡す優先枠を設ける仕組みだ。その過程で精米できない場合、玄米でも販売できるとした。

 これについて、江藤氏は、小売業者から「玄米で渡されても精米できないというお話がある」と言及し、全国的に普及するコイン精米機を使って消費者が精米してほしいと訴えた。その際、支援者からもらっているというコメについて「わざとじゃないんだろうけど、いろんなものが混じっている。うちの嫁はコメを広げて、こう黒いやつを、石とか入ってる。そういう(のを取り除く)家庭内精米をした上で、コイン精米機に持っていく」と述べた。

 佐賀市の40代の農業関係者によると、県内では共同乾燥施設でもみから玄米に調整する段階で、不純物を取り除いているという。江藤氏の発言について「佐賀では、そういったことはないと思う。大臣がもらっている玄米に問題があるのではないか。もし商品にそのようなことがあると、すぐクレームになる。何を言いたいのかが全くわからない」と批判した。

 「大臣は、ごく小規模な生産者から検査を通していないコメをもらったのだろうが、生産者から直接コメを買わない方がいいと言っているように捉えられかねない」。コメ農家の40代男性はこう憤った。「コメが売るほどある」という発言についても「余っているなら、母子家庭や子ども食堂に分けてあげたらどうか」とあきれ顔で話した。

 江藤氏が「玄米ご飯はおいしく、体にもいい」と講演で話したように、白米より栄養価が高いとされる玄米。コメ販売店の女性は「これから玄米の状態で備蓄米を入荷することがあるかもしれないが、少なくとも目立つ不純物は入っていないと考えていいと思う」と強調した。

 (田中早紀、井中恵仁)



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