仕事が激減したら、ふつうは落ち込んだり焦ったりします。しかし、勝俣州和さんは「ラッキー」と、とらえました。はたから見たら「苦しい時期」を力に変えた行動が、その後の人生を好転させたのです。(全5回中の3回)
■11人の大家族「夕飯の時間」に学んだ親父の教え
── 芸能界の第一線で長く活躍されてきた勝俣さんですが、どんな共演者とも呼吸を合わせ、場の空気を盛り上げていくバイプレーヤーという印象があります。
勝俣さん:大家族で育ったことが影響しているのかもしれません。うちは7人きょうだいと両親、祖父母も同居していて総勢11人の大家族だったんです。毎日がすごくにぎやかでした。休日には祖父母の友人が集まって、花札などを楽しむのですが、その横でお茶を出したり、お菓子をもらったり。そうしたなかで、自然とお年寄りの話を聞くのが日常になっていたんです。ただ、その話が毎回ほとんど同じ内容で(笑)。祖母に「年寄りってそういうものよ」と言われていたので、「へえ~!」「それで、それで?」と、まるで初めて聞いたかのようにリアクションしていました(笑)。
── ちゃんと話を聞くだけじゃなくて、そんなリアクションまで(笑)。
勝俣さん:そんな環境で育ったからか、聞く力や共感する力が自然と身についていったのかもしれません。夕飯の時間になると、親父が必ず「今日、学校どうだった?」ときょうだい一人ひとりに聞いていくんです。「リレーの選手に選ばれた」と言えば、みんなで拍手!親父が「じゃあ、エビフライ1個多くね!」なんていったりして(笑)。
逆に、ビリだったとしても、「よく頑張ったな!」と、努力をちゃんと認めてくれる。誰かが話しているときは皆ちゃんと聞いて、落ち込んでいたらなぐさめたり、元気づけたり。僕は長男だったので、幼い弟や妹がうまく話せないときは間に入ってフォローしたり、泣いている子に、「なんで親父が怒ったのか」をわかるように丁寧に伝えたり。