江藤拓氏の後任の農林水産大臣に、小泉進次郎代議士が内定した。コメ不足への対応は現政権の最重要課題のひとつ。大変な重責を担うことになったわけだ。小泉氏と農政と言えば、2016年の農協改革が思い出される。当時、まだ当選3回、35歳だった小泉氏は、自民党の農林部会長として、農協改革案をまとめる中心的な役割を担った。今回の大臣任命もその経験を生かしてのことと言われているのだが……。果たして、9年前の“改革”は成功だったと言えるのだろうか。当時、「週刊新潮」では彼の農協改革を失敗に終わったと断じ、その理由を論じている。以下、それを再録し、新農水相の適性について考えてみよう。
(「週刊新潮」2016年12月8日号記事の再配信です。文中の年齢、役職、年代表記等は当時のものです)
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「一言で振り返ると、“負けて勝つ”ですかね」
2016年11月25日、自民党農林部会長の進次郎議員は農業改革案をまとめた後、憔悴しきった顔でこう語った。農水省担当記者が解説する。
「16年の8月、部会長を続投となった彼にとって、最大の仕事が農業改革案をまとめあげることでした。かねてから、“改革の本丸は全農”とし、相当な意気込みを持っていました。しかし、蓋を開ければ、骨抜きと言っていい内容。これで、農協が改革できるとはとても思えません。完敗ですよ」
改革への風向きが変わったのは、11月11日のこと。
「同じく農協改革を議論していた政府の規制改革推進会議が提言をまとめたのです。1年以内に組織と事業の改革を求め、できなければ第二全農を作る、などといった過激な内容でした」
これに猛反発したのが、農協と農水族議員。
「小泉さんは先の案を後押しする立場だったのですが、地方の農協関連団体から党に対して、“壊滅させるつもりか”、“もう選挙の応援はできない”などといった苦情が殺到したのです。21日には農協が反対集会を開き、1500人もが集まる事態になりました」(同)
結果、党が了承した案で、“1年以内”という目標を外すことに。年次計画を作って、自主的な改革を促す尻すぼみの内容となった。