日本向け輸出の途についたコメは、すべて「おいしいことで有名な」韓国産品種だ。全羅南道産コメは全南農業技術院で7年にわたり育成した高品質のコメ「セチョンム」だ。米粒が透明で硬く、ご飯を炊くと粘りがあり、つやが出て食感がもちもちしているのが特徴だ。慶尚南道産コメは南部平野で主に栽培される最高品質の稲「嶺湖(ヨンホ)真米」だ。ご飯を炊くほど香ばしく、食感が柔らかい。輸出交渉中の慶北尚州のコメブランド「微笑(ミソ)真品」も2020年農村振興庁国立食糧科学院が育成した品種だ。
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農村振興庁によると、「米粒が澄んで透明だ」というのは、たんぱく質の含有量が少なく「ご飯を炊けばご飯がおいしい」という意味だという。コメにたんぱく質の含量が低いほど、米粒が柔らかくて弾力的だ。たんぱく質が多ければ、調理時に米の水分吸収を妨害し、膨張を抑制するためだ。韓国のたんぱく質含有量の品質基準は「秀」(6.0%未満)、「優」(6.1~7.0%)、「美」(7.1%以上)に分けられるが、今回日本に輸出されたり、輸出交渉中のセチョンム(5.6%)、嶺湖真米(6%)、微笑真品(5.8%)で、秀に当たる。
「日本産コメより韓国産コメの味が劣る」という認識は偏見だというのがコメ流通業界の見解だ。NH農協貿易関係者は「日本と韓国の両方とも粘り気とつやが優れたジャポニカ米で似ているうえに、自主生産量が多く、韓日両国は本来コメの輸出入が活発な方ではなかった」として「日本内のコメの価格が急騰し、日本流通業者を中心に韓国産コメに対する輸出の問い合わせが相次いでいる」と話した。
韓国農水産食品流通公社(aT)の関係者は、「最近、韓国産コメの人気は、日本産コメの価格高騰の影響が大きく、価格競争力を持って輸出を続けていけるかどうかは、もう少し確認が必要だ」としながらも、「輸出が続けば、国内コメ価格の安定や在庫切れに大きく役立つものとみられる」と述べた。