フジテレビの第三者委員会は22日、元タレント中居正広氏の代理人弁護士・長沢美智子氏が第三者委員会に請求した証拠の開示に応じなかった。第三者委員会の竹内朗弁護士らが連名で文書を公表した。
中居氏をめぐっては、3月31日に公表された第三者委員会の調査報告書で、WHO基準に則った「性暴力」の認定、中居氏側が守秘義務解除に応じなかったとした。
これに中居氏の代理人弁護士は12日、性暴力認定について「暴力的または強制的な性的行為は確認されなかった」と反論。中居氏は「守秘義務解除を提案していた」とし、第三者委員会による6時間のヒアリングに応じたものの、主張はほとんど反映されなかったと訴えた。その上で中居氏の弁護団は26日を期限として、第三者員会に性暴力を認定した経緯や証拠などの開示を要請していた。
そんななか、第三者委員会は回答期限を待たずして「ご請求をいただいた資料につきましては、開示を差し控えます」とアンサー。理由については、第三者委員会はフジ・メディア・ホールディングスおよびフジテレビに守秘義務を負っていることや、収集した資料等を一部の関係者に開示すれば、第三者員会の信頼性を損ないかねないと結論付けた。
中居氏側の「守秘義務解除を提案していた」という主張についても、詳細に説明した。第三者委員会が中居氏代理人に対し「第三者委員会は、2人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではなく、その前足と後足が大事と考えております」と説明したことについては「事実であります」と容認。その後、中居氏と女性Aの代理人が第三者委員会を介さずに守秘義務解除を巡る交渉を行っていたところ、中居氏代理人から第三者委員会に対し、2月12日に以下の話があったという。
「(女性Aの)弁護士から『貴委員会の調査に対して守秘義務を全面的に解除してほしい』との提案がありましたが、これについてはお断りいたしました」
「当方としてはこれまでの先方の守秘義務の履行については懸念するところがあり、貴委員会からのヒアリングとはいえども、守秘義務の全面解除することによって、新たな情報の流布が生じる可能性が充分にあると思います」
第三者委員会は、女性Aの代理人から守秘義務の解除に応じる回答を得ていたため、中居氏代理人に守秘義務解除の折衝を続けたが、2月15日に「守秘義務の全面的な解除まではする必要はないのではないでしょうか」などと回答があったという。
そして2月21日に「中居氏代理人から当委員会に対し、『貴委員会からのヒアリングに応じます』『先方との守秘義務は解除せず、存続を前提としてお願いします』との最終回答がありました」とした。
第三者委員会は女性Aが守秘義務を負い、中居氏が守秘義務を負わない状態でのヒアリングは調査の中立性・公平性に欠けると判断。前後の客観的状況や各種証拠の調査から、事案の人権侵害の重大性などを評価できると判断し、最終的には双方とも示談契約における守秘義務を負っている状態でヒアリングを行ったという。
その上で「本事案の前後の客観的状況等については、十分に質問して、双方から十分に回答を得ることができました」としている。
文面からして、性的トラブルの具体的な中身については、ともに守秘義務を負っていたことが新たにわかった。
第三者委員会は「当委員会の事実認定は適切であったと考えております」と断言。「中居氏には当委員会のヒアリングにおいて長時間にわたり真摯にご協力いただいたものと考えており、中居氏の証言内容や証言態度についても、重要な証拠として十分に吟味して事実認定をしております」という主張を崩さなかった。
東スポWEB