【前後編の後編/前編からの続き】
「備蓄米」放出開始から約2カ月たつが、コメの価格は依然として高い。政府がその原因とする物流の“スタック”はどこで起きているのか探ると、現場からは意外な声が。輸入米への期待感も高まっているが、米価が下がるのはいつなのか、その先行きを予測する。
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前編【「JAに放出すべきでなかった」 備蓄米が消費者に届かない本当の理由 「米卸がコメをため込んでいる」という批判に業者は真っ向から反論】では、備蓄米がなかなか消費者に届かず、コメの価格も下がらない理由について解説した。
あわせて高騰の恩恵に浴しているとうわさされるのが、生産者たるコメ農家だ。
実際、北海道のある農家に尋ねてみると、
「確かに去年は概算金(JAが農家に提示する前払い金)が60キロあたり2万1000円程度で、前年比5割ほど高かった。そこから今年はさらに2割ほど高くしてくれるという話です。これまでが安過ぎたので“今の米価でようやく暮らしていける”と語る同業も多い」
「米価がどっちに転んでもコメ農家を続けるのは厳しい」
そのJAの概算金より、高値を提示する問屋もいる。
「東京や関西など一大消費地から来て“一俵(60キロ)3万円で売らないか”と農家に声をかけて回っているみたいです。昨秋、JAは1万7000円程度を概算金としていたのですが、その後、早期入荷すればプラス3000円払うと言い出すなど二転三転して、農家の信頼を失いました。概算金以上の値段で即現金化してくれるとなれば、高騰の一因になると知りつつも、なびく農家は少なくないと思います」(前出の農家)
卸売業者と同じく増益ではあるものの、先行きには不安を覚えているという。
「この2年が良かっただけで、来年以降もこの米価とは思えない。高齢の農家では今回の増益を農機のリース代など負債の返済に回し、廃業する人もいます。もちろん今の米価が続けばうれしいですが、そうなれば消費者がコメ離れするかもしれません。米価がどっちに転んでもコメ農家を続けるのは厳しい状態で、素直には喜べません」(同)