「家賃いくら?」と聞く人は嫌われる。頭の良い人は、どう聞いている?


● 「家賃、いくら?」はよくない質問

 皆さんは、職場の人と話すときに、様々な世間話をすると思います。そのとき、次のような質問をすることもあるのではないでしょうか。

「家賃いくら?」
 しかし、いきなりこれを聞いてしまっては、相手と距離を取られてしまいます。場合によっては嫌われてしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、頭の良い人が嫌われないためにやっているコミュニケーションを紹介しましょう。

● まず、答えやすい質問をする

 私が本書で紹介しているのは、解釈を排して、事実に絞って引き出す「事実質問」です。
ただよく聞かれるのが、「そんなに事実ばかり聞いて、相手は負担に感じないか」ということです。

 確かに、事実には、答えやすい事実と答えにくい事実があります。

 例えば、先程のような「家賃いくら?」という質問ですとどうでしょうか。友人との会話であればまだしも、経済的な話ですから、ちょっと話しづらいと感じる人は多いと思います。

 つまり、これは聞きにくい事実を聞いてしまっている質問なのです。

 「聞きにくい事実」を聞く場面(たとえば、刑事の尋問など)では、圧を与えてしまいますが、「聞きやすい事実」、たとえば、自分の好きなことについて聞かれているとき(趣味、家族、映画やアニメ、本など)は、人はほとんどプレッシャーを感じません。これは実際にやってみるとわかることなのですが、むしろ、喜ばれることすらあります。

 つまり事実質問で重要なのは、答えやすい質問をするということなのです。

● 「聞きやすい事実」から聞く

 例えば、先ほどであれば、次のような質問をまずはするのが良いでしょう。

最近、引っ越したのはいつ?
今の家には何年ぐらい住んでいるの?
今どこに住んでいるの? ※
 もしどうしても家賃が聞きたければ、まずこのように聞いてみてから、上手に質問をつないでいけば良いのです。
(そもそも、世間話なので、無理に家賃を聞き出す必要すら、本当はないのかもしれませんね)

 なお、※をつけた質問は、人によっては答えづらいと感じるかもしれません。これも人によりけりです。

 このように、「良い質問」をするときには、最初から相手が答えにくい質問をするのは避けましょう。どうしても「答えにくい事実」を聞かなければいけない場合にも、まずは答えやすい質問から継いでいくのが常道です。

 対話は、どちらかが質問し、相手がそれに答えることから始まります。よい人間関係の基本には、よいコミュニケーションがあり、よいコミュニケーションの出発点には、良い質問があるのです。

 (本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』に関する書き下ろし原稿です)

中田豊一



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