献身的な愛犬がヘレン・ケラーの生涯を支えた、「あたたかく、やさしく、陽気な犬たちはわたしの友であり、このうえない慰めです」


【写真】ヘレン・ケラーとフィズ。1902年、ボストンにて

■犬たちの屈託のない明るさ

 1882年、生後1歳半のときにかかった原因不明の病でケラーは視力と聴力を失った。けれども、8歳になるころには、すでに家族の飼い犬に守られていると感じていた。親戚へ宛てたこんな手紙がある。「ジャンボはとてもたくましく、忠実な犬です。夜もわたしたち家族を守ってくれます」。

 彼女の教育に尽くした、パーキンス盲学校卒業の家庭教師アン・サリヴァン・メイシーの功績は広く知られているが、犬たちもまたかけがえのない役割を果たしていた。

 マサチューセッツ州ケンブリッジにあるラドクリフ・カレッジに入学したころには、ケラーの偉業は広く認められていた。在学中に自伝『わたしの生涯』を発表した彼女は、世界的な活動家、教育者、社会改革者としての道を歩みはじめる。

 とはいえ、フィズはつねにおとなしくしていたわけではなかった。ケラーは愛おしそうに語っている。「とても愛情深くて、駆け寄って飛びついてくるから、わたしを倒してしまいそうなこともあるのです」。

■3日間だけ視力を取りもどせたら何を見たいか



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