JA農協は小泉進次郎を鼻で笑っている…「備蓄米5㎏2000円を目指す」コメ担当大臣でも値段は下げられないワケ


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■ズレている“コメ担当大臣”の動き

 小泉進次郎農林水産大臣が就任早々活発に活動している。「備蓄米を5キログラム2000円で無制限に放出するのだ」と主張している。加えて、石破茂首相は「コメの値段全体を5キログラム3000円台」に、閣外の河野太郎氏は「輸入による米価引き下げ」を主張している。三者とも、減反を廃止してコメの増産に転換すべきだという点では一致している。コメ改革の“小石河”連合である。

 これは単にコメの値段を下げることに留まらない。高米価で零細兼業農家を温存し、そのサラリーマン収入や農地転用利益をウォールストリートで運用することで、JA農協は発展した。減反・高米価政策はJA農協、自民党農林族、農水省の農政トライアングルの核心的政策である。これは農政トライアングルに挑戦状をたたきつけたも同然だ。というより、その本丸を襲撃する行為に打って出たと言ったほうが正確だろう。

 ただし、コメの値段をどうするかという点で、表面に現れた石破首相と小泉農水大臣の発言はまったく異なる。石破首相の発言は、「JA農協が卸売業者に販売している玄米60キログラム当たり2万7000円の価格とこれに対応する精米5キログラム当たり4200円の価格を下げよう」とするものだ。これに対して小泉農水大臣が言っているのは「備蓄米を安く消費者に届ける」というだけのものだ。

 備蓄米を一般競争入札で高く落札した業者に販売するのではなく随意契約で安く販売すべきだというのは、小野寺自民党政調会長の発言から端を発したものだ。同氏は、1万2000円で仕入れた備蓄米を2万2000円でJA農協に販売して利益を得ているのは国であり、しかも落札価格が高いから備蓄米も安く販売できないと主張した。

 しかし、この主張は法律的にも経済学的にも問題がある。



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