「19歳の妹が事故に巻き込まれたかもしれない」姉は職場で泣き崩れ…107人死亡の“凄惨な電車事故”被害者家族が語る、事故直後の絶望的な心境


【衝撃写真】「ブルーシートが、血まみれの人たちで埋められて…」107人が死亡した“凄惨な電車事故”の事故現場を見る

 乗員乗客107人の死者を出した、JR史上最悪の惨事・福知山線脱線事故から20年。脱線・転覆の10秒間に、いったい何が起きていたのか。生死を分けたものは何だったのか。重傷を負った生存者にふりかかった様々な苦悩と、再生への歩みとは――。

 ここでは、遺族、重傷を負った被害者たち、医療従事者、企業の対応など、多角的な取材を重ねてきたノンフィクション作家・柳田邦男氏の著書 『それでも人生にYesと言うために JR福知山線事故の真因と被害者の20年』 (文藝春秋)より一部を抜粋。2両目に乗っていた女子大生(19歳)の証言を紹介する。(全3回の2回目/ 3回目に続く )

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「大変な事故が起こっているの、知ってる?」友人からの電話で事故を知った母

 ハルコは、市民活動に関心が強く、前の年から準備に追われていた市民団体の設立や運営を支援する中間組織のNPO法人「市民事務局かわにし」の設立に3日前に漕ぎつけたばかりで、この日も自宅でパソコンを叩いて仕事をしていた。

 友人からの電話を切ると、テレビをつけた。電車の脱線現場の凄まじい情景に、ハルコは息を呑んだ。しかし、この時はまだ事故を遠くで起きたことのように、距離感をもって見ていた。

 それでも友人から、「花奈子ちゃんが乗っていなかったか気になって」と言われたことに引っかかって、念のために花奈子に携帯で電話をかけた。つながらない。普段、家族からの電話にあまり出ない娘なので、今度はメールを送った。

〈10:50 タイトル:だいじょうぶ? 本文:すぐ連絡ください。〉

 返信がない。ハルコは、何度も電話とメールを発信したが、全く反応がない。



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