「このままでいいのか?」そんな不安が背中を押す。転職が当たり前になりつつある今、働く人々は成長や納得を求めて職場を見直している。オープンワークは「会社を辞めたくなる瞬間」について調査。その結果を基に、「望まない離職」を防ぐために重要な条件について考察する。(ダイヤモンド・ライフ編集部)
● 3年連続で転職者が増加 「会社を辞める」が一般的に
人材の流動性が高まる中で、転職はキャリア形成における一般的な選択肢となっている。
総務省の調査によれば、2024年の転職者数は約331万人に達し、3年連続で増加している。この事実は、「会社を辞める」という決断がより一般的なものとなっていることを示している。
こうした状況を背景に、社員・元社員によるクチコミサイト「OpenWork」を運営するオープンワークは、働く男女約540人を対象に「この会社を辞めたいと思う瞬間」についての調査を実施した。
キャリアアップを目的とした前向きな転職もある一方で、会社に対する違和感や諦めといった感情から「辞めざるを得ない」と感じるケースも存在する。
その背景にはどのような要因があるのか。会社を辞めたいと思った理由をランキングし、働き手の生の声から考察していく。
※調査期間は2025年4月2日〜5月12日。オープンワークが運営するコミュニティサービス「OpenWork キャリア」にて調査を実施(単一回答)。有効回答者数はOpenWorkキャリアユーザー543 人。図表はオープンワークの資料を基に編集部が作成
● この働き方じゃ通用しない… 退職を決めた瞬間は?
下表が、キャリア情報をオープンに共有するコミュニティサービス「OpenWork キャリア」において、「『この会社を辞めたい…』と思う瞬間はどんなときですか?」という質問に対し、543人のユーザー(5月12日時点)が回答した結果(単一回答)だ。
アンケート結果を分析したところ、「成長やキャリアパスが見えにくいとき」が最多の24.8%を占め、次いで「給与・評価に納得できなかったとき」が22.1%であった。
技術進化や社会変化のスピードが加速する現代において、自身の現在の仕事が将来も通用するのか不安を抱く人は多い。「自分の市場価値を高めたい」「どこでも通用する汎用的なスキルを身につけたい」といった志向が高まるなか、回答者のコメントからは、将来に対する明確な展望が持てないことが、離職を決断する主要な要因となっていることが読み取れる。
会社を辞めたい理由に関するコメント(原文ママ)を見てみよう。
「『この会社の働き方はこの会社でしか通じない』というものが多くなってきた場合は転職します。もともと自分のキャリアパスは自分の意思で決断して選ぶ思考のため、これまで多くの転職を重ねてきました。どこの会社も多かれ少なかれ、その会社独自の仕事のお作法がありますが、それがあまりにも独自過ぎて他社で通じないものが自分の領域に増えてきたら転職を意識します」(経営企画)
「今この瞬間に得るお金より、将来的に得続けるお金のほうが重要だと思います。将来的にお金を得続けるためには自分のスキルを身に着けることが一番の防衛策と思います」(システム開発)
「今自分が何を学んでいて、キャリアターゲットに対してどこまでギャップがあるのか?は常に意識しています」(生産技術)
「(成長機会やキャリアパスが)見えないと人間関係もギスギスしたり、生産性のない仕事、慣習を排除できなかったりする。そもそも会社の業績が伸びないのではないか」(システム開発)