アメリカのトランプ大統領は、高関税政策やエリート大学への圧力を強引に推し進めています。相互関税をめぐっては裁判所から差し止め命令が出されましたが、政権側は反発。大学や留学生への影響は今後も広がりそうですが、背景に何があるのでしょうか?
そこで今回の#みんなのギモンでは、「トランプ氏に“NO” 政策変わる?」をテーマに解説します。
■対日本の関税、差し止めの対象は?
山崎誠アナウンサー
「28日、アメリカの国際貿易裁判所はいわゆるトランプ関税の大きな部分について『大統領の権限を越えている』とNOを突き付けました。違法だとして無効、つまり差し止めを命じました」
「現地メディアのブルームバーグは、『トランプ政権にとってこれまでで最大級の痛手の1つだ』と表現しています」
森圭介アナウンサー
「数々の政策を打ち出してきましたし、この関税に関しては世界中の株価が左右されましたよね」
桐谷美玲キャスター
「NOを突き付けられたということは、日本への関税はどうなっていくんですか?」
山崎アナウンサー
「4月2日、トランプ氏はアメリカ国民に向けて『解放の日だ』と言って、世界各国に向けた相互関税のボードを掲げました」
「現地の報道などを基にすると、日本からアメリカへの輸出品全てに対する10%(各国一律)と、現在は適用が停止されている上乗せ分14%の、合計24%の相互関税が差し止め対象になるという判断です」
「一方、これとは別に自動車・自動車部品、鉄鋼・アルミニウムには25%の追加関税が発動されていますが、この部分は今回の差し止め判断には含まれないということです」
「それでも、トランプ関税に厳しい判断が出たという情報などを受けて、日本の株価は上昇。29日の日経平均株価は前日比で710円58銭高い3万8432円98銭で取引を終えました」
■裁判所の「NO」は想定内?…ナゼ
忽滑谷こころアナウンサー
「これをもってトランプ関税はなくなる方向に行くんでしょうか?」
山崎アナウンサー
「そこはまだまだ分からない状況です。ホワイトハウスの報道官はこの国際貿易裁判所の判断に反発し、『選挙で選ばれていない裁判官は国家の緊急事態への対処法を決める立場にない』と述べ、トランプ政権は控訴するとみられています」
「アメリカ政治のスペシャリストである明海大学の小谷哲男教授に聞いたところ、トランプ氏にとって今回の裁判所のNOは、想定内。というのも、トランプ氏は国民に選ばれていない裁判官よりも、国民に選ばれている大統領の方が権限が上だと思っているそうです」
森アナウンサー
「そういう問題なんですか…」
山崎アナウンサー
「ある意味、三権分立や司法の否定にもなります。この後に高裁や最高裁でダメだと言われても、トランプ氏は強引に押し切ってしまう可能性があります」
森アナウンサー
「そんな軽視することはできるんですかね?」
山崎アナウンサー
「小谷教授も『本来はできないが、そうしたことを強引にやってしまっているのがトランプ政権だ』と話しています。やりかねないということですね。今回の判断で日本に対する関税が下げられるのは考えにくい、ということです」