60歳はシニアの入り口とも言える年齢です。ひと昔前なら、60歳で定年を迎えたあとは、のんびり年金生活を楽しんでいたものですが、現代の60歳は元気に働いている方が大部分です(※)。
とはいえ、シニアライフが目前に迫っているのも事実。健康面で不安を抱える方も多くなる頃ですから、リタイア後の生活を見据えて、準備をしておくことに越したことはありません。
そこで今回は、60歳代の平均貯蓄額を確認し、老後に向けた対策を考えていきたいと思います。さっそくみていきましょう。
※60〜64歳の就業率(令和4年)は73.0%(令和5年版高齢社会白書より)
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今年還暦を迎える60歳、平均貯蓄額と中央値はいくら?
●平均は2460万円、貯蓄額は減少傾向
まずは60歳の平均貯蓄額から確認していきましょう。
今年の3月にPGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)が、2025年に還暦を迎える1965年生まれの男女におこなったアンケート(有効サンプル数:2000名)によると、貯蓄額の平均は2460万円とのことです。
老後の生活費が2000万円、3000万円、それ以上とも言われる時代ですから、貯蓄額の平均が2000万円を超えていることは不思議ではありません。退職金を既に受け取っている可能性もあります。
注目すべき点としては、貯蓄額の平均値が減少傾向にあることです。原因としては、近年の物価高の影響、貯蓄から投資へのシフト、年功序列の給与体系の変化など、さまざまな影響が考えられます。
●中央値は475万円、30%が「100万円未満」過去最高水準
平均値は2000万円を超えている状況ですが、全ての値の真ん中に位置する「中央値」はいくらなのでしょうか。下の図で確認してみましょう。
PGF生命調べの図によると、中央値は475万円となっています。全体の内訳は下記のとおりです。
・100万円未満:30.0%
・100〜300万円未満:15.8%
・300〜500万円未満:4.2%
・500〜1000万円未満:11.8%
・1000〜1500万円未満:9.8%
・1500〜2000万円未満:2.1%
・2000〜2500万円未満:5.9%
・2500〜3000万円未満:0.9%
・3000〜5000万円未満:7.0%
・5000万円〜1億円未満:5.7%
・1億円以上:7.0%
100万円未満、100〜300万円未満、300〜500万円未満の値を合計すると50%になるので、サンプルの半数の方の資産額は500万円以下であることを示しています。また、全体の約73%の方の資産額は2000万円以下である一方、保有資産額が2000万円以上の方は全体の26.5%、3000万円以上の方は19.7%となっています。
人生において必要とする金額は人それぞれですが、貯蓄額が500万円未満で他に資産を保有していない場合だと、老後の生活を安心して送れないかもしれません。