〈事件が公になったら自死するしかない〉 性的暴行で起訴された元大阪地検検事正の「1万字直筆文書」の“隠された意図”とは? 専門家が読み解く


【実際の写真】丸っこい字でレポート用紙いっぱいに… 事件の一部始終が書かれた「1万字直筆文書」の実物

 部下だった女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている元大阪地検検事正・北川健太郎被告(65)が被害者に宛てた謝罪文の一節だ。およそ1万字に及ぶ文書に“隠された意図”を専門家が読み解く。

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「俺の女」発言は“記憶しています”

 こう話すのは、被害を訴えた女性検事Aさんだ。

 彼女がこの書面を北川被告から渡されたのは2019年10月。事件が起きたのは、その約1年前の18年9月のことである。

 被告の検事正就任を祝う懇親会後、酒に酔って抵抗のできない状態だったAさんは被告の住む大阪市内の官舎へ連れ込まれ、性的暴行を受けたとされる。

 この時のことを、謝罪文はこう記す。

〈したこと自体は記憶があります〉〈これでおまえも俺の女だと言ったことは記憶しています〉

 Aさんは被害後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、休職に追い込まれたが、

〈あなたが入院したとき、聞いた私は間違いなく私のせいだと思いました。全部私の責任です〉

 こう書面内で、自身の行為と彼女の心身不調との因果関係を認めているのだ。

 文書を書いた翌月に辞職して弁護士へ転身した被告に対し、Aさんはその後もPTSDに苦しみ続ける。

「自己保身しか考えていない人間」

 この不可解な「言行不一致」について、謝罪文を解析した精神科医の片田珠美氏がこう指摘する。

「読後に抱いた印象は“自己保身しか考えていない人間の書いた文章だ”というものです。特徴的なのが、謝罪という体裁を取っていながら、その実、被害女性を脅すかのような内容になっている点。文章は冒頭部分で〈今回の事件が公になった場合、私は絶対に生きてゆくことはできず自死するほかないと考えている〉と書かれ、その後も自死を仄めかす箇所が繰り返し出てきます」

“訴えれば死ぬ”といって、告発を制止しようとの意図が読み取れるという。



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