「入学者減の逸失利益」 武蔵野東学園、卒業生らに7億円請求の内訳


【写真】武蔵野東学園のホームページ

 訴状によると、記者は2024年1月以降、学園が運営する高等専修学校の生徒らへの取材を元に、松村氏が学内の会議で激高したなどとする記事を週刊文春電子版に9本掲載。学園側は記事が事実と異なるとして「学園や松村氏の社会的評価を著しく低下させた」と主張し、名誉毀損(きそん)に当たるとしている。

 その上で、記事の影響により24年度は少なくとも小中学校で計4人の入学予定者が辞退、25年度の入園・入学者は24年度との比較で計105人減少したとし、在学したと仮定した場合の授業料相当額を損害として算出。過去の内部進学状況に照らし、例えば小学校の入学辞退者については中学校・高等専修学校に進学したものとして損害額を計算しており、学園には6億円近い損害が生じたとした。

 このほか、松村氏個人についても「社会的信用と名声を得た著名な人物であることは無形の損害を増大させる要因となる」と言及し、精神的苦痛などで3000万円の損害が生じたと説明。弁護士費用の約6600万円を含め、請求額の合計を7億2572万円とした。26年度以降の入学者減少についても損害として追加請求するという。

 訴えられたのは記者と卒業生のほか、保護者8人を含む計10人。保護者については松村氏の言動をホームページやビラなどで流布したとして被告に加えたとしている。

 被告とされた保護者の1人は「学園が当初の理念から変わってしまうと考えて活動してきた。それで訴えられたとすれば、声は上げにくくなる」と話す。

 卒業生は高等専修学校3年だった25年1月に退学処分を受け、東京地裁立川支部に地位保全の仮処分を申し立てたが、その後和解が成立。復学して3月に卒業した。

 学園は4月、ホームページ上で提訴を発表。被告10人のうち卒業生を含む8人を実名で記載していた。【斎藤文太郎】



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