国連安全保障理事会は4日、パレスチナ自治区ガザ地区での即時停戦を求める決議案を否決した。スロベニアなど非常任理事国10カ国が共同提案したが、イスラエルを支援する常任理事国の米国が拒否権を行使した。理事国15カ国のうち14カ国が賛成した。
今年1月のトランプ政権の発足後、米国が安保理で拒否権を行使したのは初めて。米国は「(イスラム組織)ハマスに武装解除とガザからの退去を求めない取り組みは支持できない」と指摘した。
決議案は、すべての当事者に即時かつ恒久的な停戦を要求し、ハマスには無条件での人質解放を呼びかけた。またイスラエルの名指しを避けつつ、人道支援に対するすべての制限の解除を求め、安全で妨害のない物資の配布を実現するよう要請した。
国連は「ガザの全人口が飢饉(ききん)のリスクにさらされている」として早急に支援を拡大する必要性を訴えている。
ガザ情勢を巡り、米国はバイデン前政権もイスラエルへの配慮から停戦などを求める安保理決議案に拒否権行使を繰り返した。【ニューヨーク八田浩輔】