アラスカ沖でEV積載の貨物船が火災、乗組員22名全員退避

リベリア船籍の貨物船がアラスカ沖で大規模な火災に見舞われ、電気自動車(EV)約800台を含む車両約3000台を積んだまま、乗組員が船を放棄したことが分かった。海運会社ゾディアック・マリタイムが4日、この事実を発表した。火災を起こした貨物船は、現在もアラスカ沖で漂流していると見られる。

火災発生と乗組員救助

船会社の発表によると、乗組員は火災発生後、消火活動を試みたものの鎮火に至らず、最終的に22名全員が救命ボートで船から退避した。通報を受けた米沿岸警備隊が出動し、近くを航行していた商船に無事収容された。ゾディアック社は現在、火災を起こした船の回収作業に注力している。

アラスカ沖で大規模な火災が発生したリベリア船籍の貨物船。電気自動車(EV)約800台を含む車両約3000台を積載。(写真提供:米沿岸警備隊)アラスカ沖で大規模な火災が発生したリベリア船籍の貨物船。電気自動車(EV)約800台を含む車両約3000台を積載。(写真提供:米沿岸警備隊)

火災状況と背景

この船は、5月26日に中国の煙台港を出発し、メキシコへ向かう途中だった。最初に煙が目撃されたのは、電気自動車(EV)が積載されていた甲板からだという。輸送されていたEVの具体的なブランド名は明らかにされていない。

船上でのEV関連の火災は、その性質上、消火が非常に難しいとされている。高熱を発し、一度消し止めても再発火する危険性があるため、鎮火までに数日間を要することも珍しくない。

過去の事故と業界の懸念

過去にも、海上でのEVや車両積載船の火災事故は発生している。例えば、2022年にはポルトガル領アゾレス諸島沖で、高級車約4000台を積んだ船が火災を起こし、約2週間後に沈没する痛ましい事故があった。このような船上での大規模火災、特にコンテナ船や車両運搬船での事故は、保険会社にとって深刻な懸念材料となっている。

今回の火災は、海上でのEV輸送に関連するリスクを改めて示した。ゾディアック・マリタイムは船の回収に尽力しており、今後の状況が注視される。

参考資料

  • ロイター通信 (Source link )
  • 米沿岸警備隊 (U.S. Coast Guard/Air Station Kodiak)