オンラインカジノ大口賭博でアフィリエイター逮捕:過去最高の280億円を賭けた男の実態

芸能界やスポーツ界で蔓延が問題視されるオンラインカジノの世界において、その「伝道師」とも言えるアフィリエイターの摘発が注目を集めている。5月27日、警視庁保安課は、福島県いわき市の蝶間林誠容疑者(38)を常習賭博容疑で逮捕した。同容疑者は、2022年8月から今年4月にかけて、オランダ領キュラソー政府のライセンスを持つカジノサイト「Stake」に日本国内からアクセスし、バカラ賭博などに日本円と暗号資産で合計約9200万円を賭けたとされる。逮捕容疑に関する収支はマイナスだったものの、2022年夏以降の賭け金総額は驚異の280億円に達しており、これはオンラインカジノで摘発された個人としては過去最高額となる。蝶間林容疑者はX(旧ツイッター)上で「明鏡止水」と名乗り、バカラで大勝ちした様子などを投稿。「バカラのカリスマ」「20日で12万円を5000万円にした」などとネット上で称賛されていた。

バカラのカリスマ、その裏側

カリスマと持て囃される一方で、蝶間林容疑者には別の一面があった。彼はStakeのアフィリエイトシステムにも登録し、Xなどにリンクを貼り付けて新規利用者を誘導していたのだ。この仕組みでは、紹介した利用者が賭けた額の約2%が報酬となる。彼はこの方法で100人以上の利用者を紹介し、約700万円の紹介料を得ていた。さらに、彼が注目されたのは、ごく普通の会社員であったという背景だ。

ごく普通の会社員だった容疑者

蝶間林容疑者は、賃貸住宅の建設・仲介を手がける大手上場企業に勤務し、主に新築物件の施工管理を担当していた。逮捕前の5月23日付で退職し、現在は無職となっている。彼がオンラインカジノを始めたのは約6年前。「副収入を探している」という投稿を見たのがきっかけだったという。その後、自身で編み出した「必勝法」をノートにメモするなど、次第にのめり込んでいった。最終的なオンラインカジノでの総収支はマイナス約4000万円だったことが明らかになっている。

警視庁により押収されたオンラインカジノ必勝法メモ警視庁により押収されたオンラインカジノ必勝法メモ

しかし、彼のXの閲覧者や2万7000人以上のフォロワーは、こうした実態を知る由もなかった。「会社員の傍らバカラに興じる天才」といった評判がネット上に書き込まれていた。蝶間林容疑者自身も、「大勝ちしたことをフォロワーから褒められ承認欲求が満たされた」と供述しているとされる。

常習的な賭博の実態

捜査関係者によると、蝶間林容疑者の賭博頻度は週に5日程度で、平日は4〜5時間、休日や休前日には7時間ほど賭博を行っていた。最も長い日には、実に23時間もの間オンラインカジノに費やしていたという。彼は自宅だけでなく、仕事の休憩時間や電車、タクシーでの移動中にも賭博を行っていたと供述しており、その常習性が浮き彫りとなっている。

今回の逮捕は、オンラインカジノが個人の生活に深刻な影響を与え得る社会問題であることを改めて示唆している。巨額の賭け金、アフィリエイトによる誘引、そしてオンライン上での虚像と現実の落差は、今後の同様の事案に対する警鐘となるだろう。