イーロン・マスク氏とトランプ氏、なぜ関係は悪化した?専門家予測と市場の反応

トランプ前大統領と、かつてトランプ政権で主要な役割を担ったイーロン・マスク氏の間に、関係の急速な悪化が見られている。かつて親密だった両者の対立は、マスク氏がトランプ氏が重要視する減税策を強く批判したことに端を発する。これに対し、トランプ氏は6月5日、「非常に失望している」と不快感をあらわにし、かつての蜜月関係は終わりを迎えようとしている。

マスク氏との対立が報じられるドナルド・トランプ氏マスク氏との対立が報じられるドナルド・トランプ氏

公開されたSNSでの応酬

マスク氏とトランプ氏は、関係悪化が表面化した後、SNS上でも激しい応酬を繰り広げている。

マスク氏:「私がなければ、トランプは選挙に負けていただろう」
トランプ氏:「我々の予算を節約する最も簡単な方法は、イーロンへの政府補助金と契約を打ち切ることだ」
マスク氏:「契約を打ち切るなら、スペースXは直ちに(NASAに提供している)宇宙船の運用を終了させる」
トランプ氏:「イーロンが私に反旗を翻すことは気にしていない。ただ、それなら数か月前にすべきだった。これは最も偉大な法案のひとつだ」

互いの発言は、両者の間に深い溝ができたことを示唆している。

日本国内での反応と専門家の視点

このハイレベルな対立に対し、日本のSNS上でも様々な声が上がっている。「マスクとトランプ喧嘩」「子どものケンカだろ」といったユーモラスな反応や、「エゴイスト同士でいずれ決裂は当然」といった、“想定内”とする意見が多いようだ。元サッカー日本代表の本田圭佑氏も自身のSNSで「こうなることは最初から誰もが想像できたこと」と、同様の見解を示した。

一方、「プロレスか」「メディアのネガキャンか戦略か」と、何らかの意図や戦略を推測する向きもある。

こうした状況について、全国紙の社会部記者は「トランプ氏とマスク氏の決別は、早い段階から予測されていた」と指摘する。昨年12月14日に公開された「公式 池上彰と増田ユリヤのYouTube学園」でも、両者の決別が予見されていたという。池上氏は動画内で、トランプ氏が「自分がやろうとしたことに、他から口を出されるのを嫌う」性質であることと、マスク氏がトランプ氏の「人事構想に口を出した」ことを理由に、「長続きしない、どこかで喧嘩をする」と断言していた。

経済への影響

今回の公開された対立は、経済にも即座に影響を与えている。マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める米電気自動車(EV)大手テスラの株価は12.1%下落した。これは、テスラ株を保有する人々にとって、懸念すべき状況がしばらく続く可能性を示唆しており、笑えない状況となっている。

トランプ前大統領とイーロン・マスク氏の間に生じた対立は、単なる個人的な意見の衝突にとどまらず、両者の影響力の大きさを背景に、SNSでの波紋、専門家による事前の予測、そして具体的な株価の下落といった形で、既に様々な影響を及ぼしている。今後の両者の動向と、それが政治・経済に与えるさらなる影響が注目される。