ロシア大統領府(クレムリン)は6日、3年以上継続するウクライナへの侵攻について、これを「国家存亡を懸けた戦い」であるとの認識を明確にした。この表明は、大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官が記者会見で述べたものだ。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官、ウクライナ戦争の位置づけについて発言 (2025年5月10日撮影)
トランプ前大統領の発言への反応
この「国家存亡」という強い表現は、ドナルド・トランプ前米大統領が最近のインタビューで、ロシアとウクライナ間の紛争を「子ども同士のけんか」になぞらえたことを受けてなされたものだ。ペスコフ報道官は、この比喩が紛争の深刻さを過小評価していると受け止めたようだ。クレムリンは、この紛争が単なる地域的な衝突ではなく、ロシアの将来に直接関わる問題であるとの立場を強調する必要があると判断したとみられる。
ペスコフ報道官の公式見解
ドミトリー・ペスコフ報道官は記者団に対し、「われわれロシアにとって、これは国家存亡に関わる極めて重要な問題である」と断言した。続けて、「これはロシア連邦の国益、安全保障、そしてわれわれ国民、子どもたち、国家全体の未来に関わる問題なのだ」と述べ、ウクライナ侵攻がロシアにとって戦略的にいかに重要であるかを改めて強調し、紛争の重要性を国内外に訴えた。
ロシア国防省の「報復」発表
なお、クレムリンの今回のコメントに先立つ形で、ロシア国防省は同日、ウクライナによる最近のロシア領内への攻撃に対する「報復措置」として、ミサイルおよび無人機を用いた「大規模な」攻撃をウクライナに対して開始したと発表していた。この攻撃により、ウクライナ国内では少なくとも4人の死亡が確認されている。この軍事行動の発表と、クレムリンによる「国家存亡」発言は、ロシア政府がウクライナとの戦争をますます深刻かつ根源的な問題と位置づけている状況を浮き彫りにしている。
高まる紛争の重要性認識
ロシア大統領府がウクライナ侵攻を「国家存亡に関わる問題」と公式に位置づけたことは、ロシア政府内部での紛争に対する認識の深まりと、その戦略的な位置づけの変化を示唆する。これは、今後のロシアの政策決定や、紛争解決に向けた外交努力の展望にも影響を与える可能性のある重要な表明と言える。
参照ソース
[AFPBB News / 時事通信] (https://news.yahoo.co.jp/articles/f2277d911ccddddc47b703f5491cddcef8950d3b)