兵庫県元県議 竹内英明氏死去 SNSで拡散した誹謗中傷の末に

自ら命を絶ったとみられる兵庫県の元県議、竹内英明さん。生前、竹内さんのもとには、大量の誹謗中傷メールや郵便物が届いていました。ウェブ上にあふれ、SNSで急速に拡散した竹内氏への誹謗中傷は、彼の死とどのように関連しているのでしょうか。その背景と経緯を検証します。

竹内氏と県政混乱、そして百条委員会での追及

[兵庫県元県議 竹内英明氏死去 SNSで拡散した誹謗中傷の末に兵庫県議会の百条委員会で発言する竹内英明元県議]

兵庫県では、斎藤元彦知事に関する内部告発文書問題を巡り、県政が混乱していました。この問題の真相を調査する特別委員会である百条委員会に、竹内英明元県議は名を連ねていました。彼は百条委員会で、斎藤知事に対し疑惑について厳しく追及する立場をとっていました。「知事!ここはパワハラを認めて反省するってことじゃないんですか、気持ちだけじゃなくて」と直接問い詰める場面もありました。

知事選と「黒幕」説の拡散、そして誹謗中傷の開始

[兵庫県元県議 竹内英明氏死去 SNSで拡散した誹謗中傷の末に兵庫県知事選挙で当選し、記者会見を行う斎藤元彦氏]

竹内氏が知事を厳しく追及する最中、去年秋に知事選挙が実施されました。選挙戦が過熱する中で、斎藤知事を応援していた「NHK党」の立花孝志党首が、いわゆる文書問題に関して「黒幕は竹内」であるとする内容のメモをYouTubeで公開しました。

[兵庫県元県議 竹内英明氏死去 SNSで拡散した誹謗中傷の末に兵庫県知事選に関連し、竹内氏に関するメモを公開したNHK党の立花孝志氏]

この情報がSNS上で急速に拡散され、その直後から竹内さんのもとへ大量の誹謗中傷が届き始めます。電話番をしていた竹内さんの妻によると、無言電話やいたずら電話が増え、さらに「斎藤知事を貶めた主犯格」「都合が悪くなり逃亡!卑怯そのもの」「嘘つき竹内は地獄に行くべき」といった内容の誹謗中傷メールや郵便物が事務所に送られてくるようになったといいます。竹内元県議の妻は、当時の状況について「いろんな嫌疑をかけられて・・・これまで経験したことないような・・・人から向けられる敵意というか・・・そういったものを一斉に浴びせられる恐怖がありました」と語っています。

[兵庫県元県議 竹内英明氏死去 SNSで拡散した誹謗中傷の末に兵庫県元県議 竹内英明氏に向けられたSNSやウェブ上の誹謗中傷の例]

議員辞職後も続く中傷、そして悲劇的な死

[兵庫県元県議 竹内英明氏死去 SNSで拡散した誹謗中傷の末に誹謗中傷の被害を受け、兵庫県議を辞職した竹内英明氏]

知事選の投開票から一夜明けた去年11月18日、竹内さんは兵庫県議会議員を辞職しました。彼は生前、「家族を巻き込むことがあったときは仕事は続けられない」と周囲に話していたといいます。議員辞職を決断した後も、SNS上での誹謗中傷は止まりませんでした。「議員だから説明責任があるとか、反論できるはずだとかこれまでも言われてきましたけどそれはできなかった・・・その力もなく・・・」と、妻は誹謗中傷に対し竹内さんが十分に反論できない状況にあったことを明かしています。そして今年1月18日、竹内さんは自宅で亡くなっているのが発見されました。自ら命を絶ったとみられています。

結論:SNS時代の誹謗中傷が招いた悲劇

兵庫県元県議である竹内英明氏の死は、彼が受けた大量かつ悪質な誹謗中傷と無関係ではないと考えられます。SNSで拡散された不確かな情報をもとに、個人の尊厳を傷つける言葉が無数に浴びせられ、それは彼が議員を辞職した後も止まることはありませんでした。この悲劇的な出来事は、インターネットやSNS上での誹謗中傷が、現実世界でいかに深刻な結果を招きうるかを示す痛ましい事例であり、匿名性の高いオンライン空間における言葉の暴力について、改めて社会全体で考えるべき課題を投げかけています。

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