米連邦捜査局(FBI)は4日、カリフォルニア州パームスプリングスにある不妊治療クリニックで先月発生した爆発事件に関与したとして、過激な虚無主義思想を持つ米国人の男、ダニエル・ジョンヨン・パク容疑者(32)を逮捕したと発表しました。パク容疑者は、実行犯に爆発物を送った疑いが持たれています。
米国パームスプリングス不妊治療クリニック爆発事件に関与したダニエル・ジョンヨン・パク容疑者の逮捕記録写真
事件の概要と逮捕
先月発生したパームスプリングス不妊治療クリニック爆発では、クリニックの建物に大きな穴が開き、近隣の建物の窓やドアも吹き飛ぶほどの被害が出ました。この事件を実行したガイ・エドワード・バートカス容疑者(25)は現場で死亡しましたが、他に4人が負傷しました。幸いなことに、クリニックに保管されていた胚は無事でした。共犯者とされるダニエル・パク容疑者(32)は、ポーランドから米ニューヨーク都市圏の空港に到着したところを、連邦捜査局(FBI)によって拘束されました。彼は、実行犯であるバートカス容疑者に爆発物を送付した疑いがかけられています。
過激な思想と容疑者のつながり
ビル・エッサリ連邦検事によると、爆発事件の捜査を通じて、実行犯であるバートカス容疑者が「死を肯定し、出生を否定し、中絶を容認する過激な思想」を持っていたことが明らかになりました。司法省の声明では、バートカス容疑者は「人間は本人の同意なしに生まれるべきではなく、存在しないことが最善だ」と信じていたとされています。逮捕されたパク容疑者も、この虚無主義的な思想を共有していたと見られています。彼は、手製爆弾の製造に頻繁に使われる爆発物の原料、硝酸アンモニウム約82キログラムをバートカス容疑者に送付した疑いがかけられています。さらに、パク容疑者とバートカス容疑者は、事件が発生する前の今年1月から2月にかけて、バートカス容疑者が住むカリフォルニア州トゥエンティナインパームズで一緒に爆発物の実験を行っていたことが判明しています。
容疑者の逃亡とFBIの対応
米国人でワシントン州シアトルに住んでいたパク容疑者は、爆発事件発生の数日後にはポーランドに逃亡を図りました。しかし、米連邦捜査局(FBI)の要請を受けたポーランドの現地当局によって拘束され、米国に送還されました。FBIのアキル・デイビス氏によると、法執行機関は米国国内における小規模な虚無主義(ニヒリズム)運動の存在を認識しており、過去数年間にわたり追跡調査を行ってきましたが、今回逮捕されたパク容疑者と実行犯のバートカス容疑者は、それまでの捜査対象には含まれていなかったとのことです。デイビス氏は記者団に対し、「彼らは人間が存在するべきではないと考えている」「反出生主義(アンチナタリズム)、死肯定論(プロモータリズム)、虚無主義といった言葉が入り混じり、彼らの思想体系が作り上げられている」と説明しました。
関係当局からのコメント
今回のパームスプリングス不妊治療クリニック爆発事件について、パム・ボンディ司法長官は、「これは、われわれが共有する人間性の核心を突く、残酷で忌まわしい犯罪である」と述べました。ボンディ司法長官は自身のソーシャルメディアに、「この男を米国に送還する手助けをしてくれたポーランドのパートナーに感謝する。われわれは法の及ぶ限り最大限訴追していく」と投稿し、容疑者に対する厳正な対処方針を示しました。
結論
米国パームスプリングスで発生した不妊治療クリニック爆発事件に関し、虚無主義的な思想を持つダニエル・ジョンヨン・パク容疑者が共犯として逮捕されました。実行犯への爆発物提供という具体的な行動は、彼らの危険な思想が現実の犯罪行為につながったことを示しています。ポーランドで拘束されたパク容疑者は米国に送還され、現在、法に基づく訴追が進められています。今回の事件は、特定の過激思想が引き起こしうる深刻な結果を改めて浮き彫りにしました。
参考資料
https://news.yahoo.co.jp/articles/d34e7aa5c5747f74f2d2ec4b0e55cddf9b408d37