日本維新の会兵庫県組織、地方議員の離党・除名相次ぐ背景

兵庫県に基盤を置く日本維新の会県組織、兵庫維新の会では、所属する地方議員の間で離党や除名が相次いでいる。特に、2024年11月に行われた知事選挙を巡る党の対応や、地方組織内のガバナンスなどが、この動きに影を落としているとみられる。県議会、神戸市議会、明石市議会、そして尼崎市議会など、各地の議会で維新の勢力図に変化が生じている現状を追った。

知事選巡る対応と県議・市議の離反

まず、兵庫県議会において、維新所属の県議3人が2024年3月に除名または離党勧告処分を受けた。対象となったのは、岸口実県議(除名)、増山誠県議、白井孝明県議(両名とも離党勧告)である。これは、24年の知事選で再選された斎藤元彦知事を支持する立場から、党の方針に反して行動したことが原因とされる。具体的には、県議会調査特別委員会(百条委)の非公開情報などを、斎藤氏当選を目的に立候補していた政治団体代表に提供したとされている。

この3人の県議は、処分後の3月に地域政党「躍動の会」を立ち上げた。その後、神戸市議会でも川口賢議員と大井敏弘議員が維新を離党し、「躍動の会」に合流した。川口氏は2019年の初当選以来維新に所属していたが、大井氏は国民民主党を経て2023年の市議選で維新から当選した議員である。

川口氏は離党理由として、維新が2024年9月の斎藤元彦知事の不信任決議案に賛成したことを挙げ、「当時の世論に迎合して斎藤知事を辞めさせる方向に方針転換した。現状が見えておらず、がっかりした」と党への不信感を口にした。2023年の神戸市議選で15人を当選させ、第2会派となった維新だが、この離党により所属議員は12人となり、第3会派の公明党と並ぶ議席数に後退した。

兵庫維新の会 金子道仁代表、神戸市中央区での全体会議にて(2025年4月27日)兵庫維新の会 金子道仁代表、神戸市中央区での全体会議にて(2025年4月27日)

明石市議会での会派移動と除名

明石市議会でも維新の会派「明石維新の会」で幹事長を務めていた上田雅彦氏が、2024年5月に兵庫維新に離党届を提出した。

上田氏は離党理由について、2024年10月の衆院選兵庫9区における党の戦略不足や、県政における文書告発問題への対応の遅れ、そして24年知事選での挙党態勢が構築できなかった点などを挙げ、「ガバナンスが欠如していた」と党組織の運営に対する不満を示した。福祉分野に関心があった上田氏は、前明石市長の泉房穂氏がかつて設立した地域政党の支援で当選した市議らでつくる会派「市民の会」に移籍した。兵庫維新は上田氏の離党届を受理せず、「市民の会」の市政報告会に泉氏も出席する中で挨拶した行為を反党行為とみなし、上田氏を除名処分とした。

尼崎市議会の過去問題と選挙への影響

斎藤知事を巡る一連の問題が表面化する以前から、尼崎市議会では維新議員の離党が続いていた経緯がある。2021年の市議選で維新は前回より3議席増やし、公明党に次ぐ10議席を獲得したが、翌22年6月に会派幹事長を務めていた光本圭佑氏(後に辞職)の政務活動費を巡る不正疑惑が発覚。光本氏は同月に除名処分となり、その後も複数の理由で市議3人の離党が相次いだ。

2024年6月8日告示、15日投開票の尼崎市議会議員選挙において、維新が擁立した公認候補者は現職6人、新人1人の計7人にとどまった。これは、2013年に初めて議席を獲得して以降、候補者数を増やし続けてきた維新にとって初めての減少となり、前々回2017年の擁立者数をも下回る結果となった。

兵庫維新の青山暁幹事長は、尼崎での候補者数減少について、「光本氏の問題の影響で尼崎では離党者が相次いだ」と認めつつ、「議会は数なので多い方がいいのだが、今回は、間違いないという候補を選定して結果として7人に絞った」と述べた。

まとめ

兵庫県内で日本維新の会所属議員の離党や除名が相次ぐ事態は、斎藤知事を巡る対応方針の対立、党組織のガバナンスに対する不満、そして選挙戦略への懸念など、複数の要因が複雑に絡み合っていることを示唆している。県内各地の議会における維新の勢力減少は、今後の地方政治における同党の影響力にも少なからず影響を与える可能性がある。党勢拡大を目指す日本維新の会にとって、兵庫県における地方組織の安定と立て直しは喫緊の課題となっている。

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