(CNN) 米国のトランプ大統領は、移民の摘発に端を発した抗議活動が続く米ロサンゼルスでの暴動を鎮圧するため、州兵2000人の派遣を命じる大統領覚書に署名した。ホワイトハウスが7日に明らかにした。
カリフォルニア州パラマウントでは同日、デモ参加者を追い払うため、催涙ガスと閃光(せんこう)弾が使用され、4人が逮捕された。同州議会のホセ・ルイス・ソラチェ議員が明らかにした。
ホワイトハウスのレビット報道官は声明で「これらの作戦は、米国へ不法入国する犯罪者の侵入を阻止し、逆転させるために不可欠だ。今回の暴力を受けて、カリフォルニア州の無能な民主党指導者は市民を守る責任を完全に放棄した」と述べた。
同州のニューサム知事は、州兵の派遣は挑発的で緊張を高めるだけだと反発し、「誤った任務であり、公共の信頼を損なう」と述べた。
レビット報道官は、トランプ氏が州兵派遣を決めたのは「放置されてきた無法状態」に対処するためであり、「暴徒が移民税関捜査局(ICE)の職員や連邦機関の法執行官を襲撃した」と述べた。
米連邦捜査局(FBI)のダン・ボンジーノ副長官は7日、SNSで、ロサンゼルスのデモ参加者が移民取り締まりを妨害した疑いについて捜査していると明らかにした。
治安当局からは州兵派遣は「過剰反応」との批判の声も出ている。ロサンゼルスの抗議対応に関わる治安当局の高官は、州兵派遣は逆効果で、扇動者を刺激するだけだと語った。
情報筋によれば、7日夕の時点でロサンゼルス周辺には暴力化する恐れのあるデモ参加者が多数確認されており、当局が取り締まりを進めている。
バンス副大統領は7日夜、SNS「X」への投稿で、「外国の旗を掲げる反乱分子が移民の法執行官を襲撃している一方、米国の政治指導者の半数は国境の取り締まりを悪だと決めつけている」と訴えた。
抗議デモへの対応を巡っては、ICEとロサンゼルス市警が対立している。ICEは声明で、1000人を超える暴徒が連邦政府の建物を包囲して、職員が襲撃された際にロサンゼルス市警に複数回通報したにもかかわらず、対応に2時間以上を要したと述べた。一方、ロサンゼルス市警は、職員は安全な状況が許す限り迅速に動員され行動したと反論している。